--OpenStreetMapプロジェクトはどうやってスタートしたのですか?
OpenStreetMapは、ボランティアが自由に参加して地図データを作るプロジェクトです。Wikipediaはオープンな百科事典プロジェクトですが、われわれは地図データで同じようなことを行っているのです。集団で、オープンなモデルで作るという点では、Linuxなどのオープンソースソフトウェアと類似しているともいえます。現在、登録ユーザーは55万を数えます。
プロジェクトを開始したのは英国のSteve Coast氏です。英国では国土地理院(Ordnance Survey)が地図データを持ちますが、高価で自由度がありません。この状況に不満を感じたCoast氏は、GPSを利用して地図作成を開始しました。
そうするうちにコミュニティが集団で取り組めば無料の地図データができると思い、プロジェクトを立ち上げました。地図データをみんなで共有することで、イノベーションも促進できます。
Coast氏はその後、OpenStreetMapのデータを利用するツールやAPIを提供するCloudMadeという会社を立ち上げています。
--地図データがフリー、オープンであることのメリットは?
通常の地図は、地図がユーザーにどのように使うかを指示しているようなものです。(OpenStreetMapでは)ユーザーは自分が使いたい地図を作ることができます。
OpenStreetMapから、さまざまな地図が生まれています。たとえば、サイクリング用マップ、ハイキングマップ、車椅子用マップ、海の地図、FONのWi-Fiアクセスポイントマップなど、たくさんあります。
サイクリング用なら高速道路やガソリンスタンドといった自転車に関係がない情報は表示せず、サイクリング愛好家に使いやすい地図になっています。車椅子用のマップでは、段差がどのぐらいあるのか、車椅子用のトイレはあるのかといったバリアフリー情報が入っています。車椅子を利用する人がたくさん参加して作った地図なので、本当に役立つ情報が入っているといます。
このようにさまざまな地図を見ていると、地図で何ができるのか、地図とはどういうものなのか、考えが変わります。