フリーな地図のパワー示すOpenStreeMap--コミュニティの災害マップで復旧支援

末岡洋子

2012-03-15 08:00

 2011年3月11日午後2時46分、三陸沖で発生した東日本大震災が発生した。

 日本中に大きな衝撃が走る中、8時間後に災害マップを作成するという動きが立ち上がった。主体となったのは、フリーの地図プロジェクト「OpenStreetMap」のコミュニティだ。迅速かつ有機的に動くことができるオープン性とコミュニティのパワーを示す好例といえるだろう。

 OpenStreetMapは地図のWikipediaともいわれるプロジェクト。コミュニティで地図データを作成するというスケールの大きな試みだ。Microsoftの「Bing」が一部採用しているほか、3月にはAppleが一部製品で採用したことも話題となった。

 OpenStreetMap Foundationのボードメンバーで書記を務めるHenk Hoff氏に、OpenStreetMapプロジェクトについて話を聞いた。

--東日本大震災が発生した時、災害マッププロジェクトが立ち上がりました

OpenStreetMap Foundation ボードメンバーのHenk Hoff氏
OpenStreetMap Foundation ボードメンバーのHenk Hoff氏

 この経緯には、2005年に米ニューオリンズを襲ったハリケーン・カトリーナ、そして2010年のハイチ地震があります。ハリケーン・カトリーナで最新の災害情報が入った地図が重要だということがわかり、ハイチ地震ではじめて本格的にコミュニティが災害マップを作りました。

 このノウハウがあったので、東日本大震災でも発生後すぐにプロジェクトが立ち上がりました。

  • OpenStreetMap Japanが開設したsinsai.info(クリックで拡大)

 災害では、その後の復旧作業をいかに早く始めるかが大切です。救助活動にあたって、どの道路が閉鎖されているのかなど、リアルタイムの正確な情報が必要になりますが、地図上に影響を受けている箇所がビジュアルに表示されると活動がスムーズになります。ダメージの状況や範囲などの地図情報は刻一刻と変わります。われわれの災害マップは効率のよい救助活動に役立ったと信じています。

 祈りとともに、寄付とは別の形で、地図を通じて被災地を支援できていると願っています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]