2011年3月11日午後2時46分、三陸沖で発生した東日本大震災が発生した。
日本中に大きな衝撃が走る中、8時間後に災害マップを作成するという動きが立ち上がった。主体となったのは、フリーの地図プロジェクト「OpenStreetMap」のコミュニティだ。迅速かつ有機的に動くことができるオープン性とコミュニティのパワーを示す好例といえるだろう。
OpenStreetMapは地図のWikipediaともいわれるプロジェクト。コミュニティで地図データを作成するというスケールの大きな試みだ。Microsoftの「Bing」が一部採用しているほか、3月にはAppleが一部製品で採用したことも話題となった。
OpenStreetMap Foundationのボードメンバーで書記を務めるHenk Hoff氏に、OpenStreetMapプロジェクトについて話を聞いた。
--東日本大震災が発生した時、災害マッププロジェクトが立ち上がりました
OpenStreetMap Foundation ボードメンバーのHenk Hoff氏
この経緯には、2005年に米ニューオリンズを襲ったハリケーン・カトリーナ、そして2010年のハイチ地震があります。ハリケーン・カトリーナで最新の災害情報が入った地図が重要だということがわかり、ハイチ地震ではじめて本格的にコミュニティが災害マップを作りました。
このノウハウがあったので、東日本大震災でも発生後すぐにプロジェクトが立ち上がりました。
災害では、その後の復旧作業をいかに早く始めるかが大切です。救助活動にあたって、どの道路が閉鎖されているのかなど、リアルタイムの正確な情報が必要になりますが、地図上に影響を受けている箇所がビジュアルに表示されると活動がスムーズになります。ダメージの状況や範囲などの地図情報は刻一刻と変わります。われわれの災害マップは効率のよい救助活動に役立ったと信じています。
祈りとともに、寄付とは別の形で、地図を通じて被災地を支援できていると願っています。