業界横断のシステムで品質確認の精度を保つ
スマートグリッドやスマートコミュニティシステムなどに代表される、複数の産業界をまたがる形で構成される高度な統合システムも、安全性に対する潜在リスクの増加に大きく影響を与えている。従来は個別の産業システムとして成り立っていたものが、相互に接続されて業界横断のシステムになることで、全体システムとしての品質確認の精度が低下してしまうからだ。
「一言に組込みシステムといっても、業界ごとに考え方や習慣が異なるわけです。当然、機能安全に対する取り組み方も違ってきます。そういう異なる文化をもったシステム同士が相互に接続された場合に、どうやって安全性や品質を保証していくか。ユーザーの利用方法の場合と同じように、ここでも設計段階では将来どんな機器がつながるのかを想定できないという問題があります。あらゆるものが相互に繋がる可能性を考えて、それに対応できる枠組みが必要です」(田丸氏)
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上記のような背景を踏まえ、利用者の安全の確保や、安心感の向上、利便性・快適性の向上、そして国内産業の国際競争力の維持および強化を目的として整備が進められているのが、新しいソフトウェア品質監査制度である。田丸氏はこの制度について次のように語っている。
「監査のような制度は一度完成してしまうと作り直すのは難しいのです。ですから、あらかじめ将来のことも見越して、市場のニーズに柔軟に対応できるようなフレームワークを構築することが重要だと考えています」(田丸氏)
次回からは、このソフトウェア品質監査制度の具体的な提案内容を解説していきたい。