アステラス製薬でコーポレートIT部長を務めていた重富俊二氏が、ガートナー エグゼクティブプログラム部門 バイスプレジデント兼エグゼクティブパートナーに就任した。
経営管理部門からやってきたIT部長ともいえる重富氏は、「テクノロジのことは全く分からなかった」と笑う。しかし、求められたのであろう役割は「ITとビジネスの通訳」だった。ITがビジネスにどう貢献しているのか、自分たちで説明できるように部門の文化も変えていった。
重富氏にこれまでのキャリア、CIOの役割、そして悩めるCIOへの助言を聞いた。
自身のキャリアを振り返って
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私が藤沢薬品工業に入社したのが1978年、社長室に配属された。今でいう広報や経営企画、予算管理、秘書などが集まる部署だ。入社直後は、主に中期計画に関する仕事をしていた。
その後、予算管理を担当する経理部に異動し、入社9年目には組合の専従者になった。専従は10年間も続けたことになる。
1987年に経営企画部に戻ったが、2003年、急に情報システムの部長をやれといわれ、IT企画部長に着任した。就任から1年も経たないうちに山之内製薬と合併することになり、2004年はシステム統合にかかりきりになった。
2005年にアステラス製薬が誕生。当時は情報システム本部という部門があり、私はそこの企画部長をやっていた。2007年に情報システム部門の組織改編があり、CEO(最高経営責任者)直属のコーポレートIT部が新設され、そこの部長に着任した。2007年4月のことだ。
アステラス製薬には2011年9月まで在籍したので、ITに携わったのはこの8年半ということになる。
管理部門からやってきたIT部長として
こうしたキャリアだったため、会社は「経営の視点からITを見てほしい」と考えたのではないかと推測している。システムの話にはお金がかかる。経営側から見れば、なぜそれだけお金がかかるのか、その投資は戦略的なのかを知りたかったのではないだろうか。
もっとも、当時の環境を踏まえれば、他社の情報システム部門もバージョンアップがどうだとか、そういった話に振り回されていたと思う。