企業は人、イノベーションは魂--中国ハイアールのIT戦略 - (page 2)

大川 淳

2012-04-25 17:15

コストセンターから価値創造センターへ

 ITの推進による同社の改革には3つの段階がある。

 第1段階は1995年からの3年間で、オフィスオートメーション化、コンピュータ化などを進めた。第2段階は1998年から2006年までで、生産、販売、物流などのシステムを構築した。現在は第3段階にあり「情報化をビジネスに結びつけることで価値を創造している。PLM(製品ライフサイクル管理)、SCM(サプライチェーン管理)、CRM(顧客関係管理)などのアプリケ−ションを統合した後、モジュール化してビジネスに応用している」という。

 かつての同社IT部門は、システムを基礎としてチームを作り、いわば上司をターゲットにニーズの実現に努めていた。「これまでのIT部門はコストセンターだった」と高氏。

 同氏は「それを転換して価値を創造する部署にした。フラットな組織をつくり、エンド・ツー・エンドの顧客満足度向上化を目標とした。主として実行したのは、プロセスのクローズドループの最適化だ。その結果、IT部門はコストセンターから価値創造センターへ」と変わった。

 ハイアールの展開するeコマースでは2001年頃、すべての家電品が受注後24時間以内に配達ができるようになった。ここでもIT部門は大きな役割を果たした。「業務フローを作成し、サプライチェーンを見直し、一連のソリューションを開発して、24時間以内の配達というコミットメントを実現させた」

 技術面では、オラクルの協力でクラウドのプラットフォームを構築。受注管理システムやビジネス情報のインテリジェンスな解析などを主に担った。ExalogicとExadataで構築されたPaaSは、ソリューションの全体的な統合を実現。コストを半減させ、一方で処理速度は7倍になったとする。

 高氏は「企業は人であり、イノベーションは魂というのがハイアールの考えの基本。というのは、経営チーム一人ひとりの自己革新により、ハイアールの市場革新の成果が実現されたということだ。そして、ICTチームの自発的な変革により、ネットワーク時代に対応したコアな価値を実現した」と述べた。

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