データセンター向けのネットワーク機器から仮想化技術、そしてクラウド領域へと軸足を移し続けるCitrix Systems。
2010年5月、同社社長 兼 CEO(最高経営責任者)のMark Templeton氏はZDNet Japanのインタビューで、「事業はクラウドのインフラ部分に留める」と答えていた。その理由はインフラより上——サービスの領域に踏み込めば、NetScalerやXenServerを利用するサービスプロバイダーと競合する可能性があったからだ。
しかし今、Citrixの競合はVMwareやF5 Networksだけではない。AppleやFacebookとも競合する可能性を意識し始めている。ITコンシューマライゼーションが進展するにつれて、エンタープライズITとコンシューマーITの境目が曖昧になってきているが、その影響はユーザーだけでなく、ベンダーの競争環境にも影響を与えているようだ。
シトリックスの競合はヴイエムウェアだけではない
同社が米サンフランシスコで開催中の年次カンファレンス「Citrix Synergy 2012」で、同社CMO(最高マーケティング責任者)のWes Wasson氏が、ZDNet Japanのインタビューに答えた。
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「特定の製品やサービスではなく、企業として、Citrixはどこの企業と競合しているのか」との質問に、「競合について考える前に、我々の顧客がどこにいこうとしているのか、市場のホワイトスペースがどこにあるのか——そこをきちんと考えれば、自ずと道は見えてくるとだろう」とコメント。特定の企業について言及しないのかと思わせたが、これは前置きだった。
「さて、競合について話そう。どの企業を意識しているのかと聞かれれば、最も競合する範囲が広いと考えられるVMwareだ。そして、ネットワーク分野で急成長を遂げているF5 Networksとも競合している。そのほかには(コンシューマー向けオンラインストレージの)Boxなど、多くの小さな企業と競合していると考えられる」(Wasson氏)
VMwareやF5といった同社の伝統的な競合企業の名前を挙げたWasson氏は、続けて意外な企業に言及した。