デジタルプロダクツ部門売上高は前年比13%減の1兆6640億円、営業損失が571億円悪化のマイナス282億円の赤字。赤字の最大要因は、液晶テレビとなる。
「液晶テレビ事業は、国内における想定以上の大幅な需要減、競争激化による価格下落の影響などにより大幅な減収となり、500億円程度の赤字」と久保専務は説明する。
とくに国内では、第3四半期(10〜12月)に前年同期比で7割を超える落ち込みとなったほか、第4四半期(1〜3月)には市場の動き以上に出荷台数を絞り込んだ影響もあり、7割近い落ち込み。結果として、下期は、国内では当然のことながら7割を超える落ち込みという、大幅な減少だったという。
その影響もあり、「年間1500万台としていた液晶テレビの出荷計画には届かなかった」(久保専務)という。
同じデジタルプロダクツ部門に含まれるパソコン事業については、国内を中心に販売台数が増加したものの、急激な円高の影響と欧米での伸び悩みにより、売上高は前年比10%減の8229億円。しかし、年間1900万台と前年並みの台数を出荷。国内の増収に加えて、コスト削減施策の徹底、部材価格の低減効果などにより、営業利益は13億円増の114億円となり、減収増益の結果となった。
2012年度の連結業績見通しは、売上高が4.9%増の6兆4000億円、営業利益が45.2%増の3000億円、税引前利益は37.8%増の2100億円、当期純利益は83.2%増の1350億円と、増収増益を目指す。
セグメント別では、デジタルプロダクツ部門の売上高が3%増の1兆7100億円、営業利益が432億円改善の150億円と黒字転換を目指す一方、電子デバイスおよび家庭電器での売り上げ2桁成長、社会インフラ事業での大幅な増収増益が業績をけん引することになる。
液晶テレビについては、「2012年度上期には桁程度(=数十億円)の赤字が続くが、下期にはブレイクイーブンに転じる。通期では赤字が残るものの、2011年度が底になる」(久保専務)として回復へのシナリオを描いている。
「コスト改善や市場ニーズにあったテレビの投入に取り組む。こうした製品で確実に利益を出していく」と意気込み、年間1600万台の出荷を目指す計画だ。
重電の強みを生かしつつ、デジタルプロダクツ部門の回復をいかに加速できるかが注目される。