レンタルサーバ事業者のファーストサーバが顧客のメールおよびウェブデータを消失した問題で、ファーストサーバを利用してウェブサイトなどを構築していた被害企業が、システムの復旧や補償を受けるための取り組みを始めているようだ。
東京のある製造業向けソフトウェア開発会社は、自社のウェブサイトをホスティングする環境としてファーストサーバのサービスを利用していた。話を聞いた担当者は「先週展示会にブースを出展し、新規顧客の情報を集めている際に突然サイトが停止した」と話す。
現在は、CMSから吐き出されたHTMLを使って50%くらいの状態にまで復旧させたものの、「CMSごと消失したため、更新も何もできない」と嘆く。
「CMSの再構築しか復旧方法はない」としており、現在ほかのホスティング事業者を選定中だ。「事故に巻き込まれた経験を踏まえ、選定基準としてバックアップの方法や補償の規定をよく確認するようにしたい」とこの担当者は話している。
「システムの建て直しを優先する一方、今後は顧問弁護士と損害賠償についての話を詰める」という。「ホームページを作成した際にも数百万円のコストがかかっており、どこまで補償されるのかが気になる。今後も関連する情報を収集していきたい」とコメントした。
このソフトウェア開発会社はファーストサーバのサービスを使って3年前後という。コストの安さと利用企業の多さを決め手に採用したものの、結局は蓄積したデータを失うという意味で高くついた。ただし「業務や収益に決定的な影響が出るような使い方でなかった」ことが不幸中の幸いだった。
ZDNet Japan編集部には、名古屋在住のユーザーからの電話も鳴った。「ファーストサーバの障害で大変困っている。今後も続報を期待している」との意見をもらった。
中小規模を中心とした5698件の顧客のデータが消失しており、被害状況が今後さらに明らかになることが見込まれる。
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