本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今週は、シックス・アパート代表取締役CEOの関信浩氏と、日本マイクロソフト業務執行役員の平野和順氏の、いずれもプライベートイベントでの発言を紹介する。(ZDNet Japan編集部)
「ブログはコンテンツの宝庫。ソーシャルメディアがインターフェースとなって、その価値はますます高まってくる」
(シックス・アパート 関 信浩 代表取締役CEO)
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シックス・アパートが6月27日、システムインテグレーターやWebサイト構築企業向けに事業戦略説明会を開いた。関氏の発言は、その説明会の合間に筆者の取材に応じ、ブログとTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアの関係について語ったものである。
ブログ製品のリーディングカンパニーである同社は現在、個人のブログから多数のメンバーで運営するソーシャルメディアまでさまざまなシーンでのWebサイト構築・運営・管理を支援するブログ・コンテンツ管理システム(CMS)である「Movable Type」をはじめ、ソーシャルメディアとの相互連携を支援するツール「Zenback(ゼンバック)」、ソーシャルメディアを利用した商品キャンペーンサイトを簡単に立ち上げることができる「Lekumo(ルクモ)キャンペーンビルダー」、法人向けブログサービス「Lekumoビジネスブログ」などを提供している。
今回の説明会は、販売パートナーとなり得る企業に対し、それぞれの製品の最新版やパートナー制度について紹介したものである。その主催者として挨拶に立った関氏は、合間を縫って筆者の取材に応じてくれた。
聞きたかったのは、最近、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが台頭する中で、あまり話題にならなくなったブログの今後の存在意義や役割についてだ。その核心のコメントが冒頭の発言である。さらに以下のような興味深いコメントもあった。
「まだソーシャルメディアが世の中に出現してなかった頃は、いまTwitterやFacebook、写真共有サイトなどが果たしている役割を、ほとんどすべてブログが担っていた。その意味では、ソーシャルメディアはブログから派生していったといえる」
「ブログとソーシャルメディアが異なるのは、ブログがコンテンツの保管場所であるのに対し、ソーシャルメディアは情報のインデックスを受発信する場所であることだ。情報に対する役割として言うならば、ブログがストックなのに対し、ソーシャルメディアはフロー。ブログからみればソーシャルメディアは、インターフェースの役目を果たす存在となる」
「したがって、利用人口としてはソーシャルメディアの急増ぶりが目立ち、ブログは若干減少気味かもしれないが、ブログとしてはインターフェースが増えたことで、実は閲覧者数が急増している。それに伴って既存のブログのコンテンツ量も増えている。こうした現象から、最近ではきちんとしたコンテンツを継続的に発信できるブロガーの存在価値がますます高まっている」
さすがブログの世界の第一人者。論理が明快で感心しきりの取材だった。こうなると、ブロガーの果たす役割も以前とはだいぶ変わってきそうだ。ブロガー諸氏、大いにがんばっていただきたい。