さまざまなアプローチ
こういったハイブリッド機の対象顧客がおそらく従来のノートPCユーザーになるという点を考えた場合、昔からの形状を守ったハイブリッド機にしておくのが最も手堅い戦略と言える。業界を率いるメーカーはこの戦略を採用しており、サムスン電子の「ATIV Smart PC」やHewlett-Packard(HP)の「Envy x2」はいずれも、必要に応じてユーザーがディスプレイを簡単に着脱できるようになっている。

Lenovoの「IdeaPad Yoga 13」
提供: David Meyer
Lenovoの「IdeaPad Yoga 13」もこのカテゴリに分類できるものの、Lenovoはディスプレイ部分を本体裏側にまで完全に倒すことで、タブレットとしても使用できるようにしている。
このアプローチの利点は、デバイスを持ち歩く際にノートPCと同様、画面の裏側がプロテクタの役割を果たすというところにある。また、これによってiPadと外付けキーボードをセットで持ち歩くという使い方に対する代替策を提供できるようになる。
スライド式
この他に、ソニーの「VAIO Duo 11」や東芝の「Satellite U920t」で採用されているスライド式もある。この方式を評価するうえで、現時点では画面サイズとヒンジ部分のメカニズムという2つのファクターも鍵となっている。
どちらのデバイスも限られた時間しか使うことができなかったが、筆者は価格こそ高いもののソニーの方に軍配を上げたい。VAIO Duo 11の画面サイズは11.6インチであり、Satellite U920tは12.5インチとなっている。数字の上で見ると、これらは大差ないように感じられるものの、実際に手にしてみると、特にタブレットモードでは大きな違いが感じられる。

ソニーの「VAIO Duo 11」
提供: David Meyer
ここでも筆者は偏った視点に立っている。10インチのタブレットは、日常的に使用するには筆者にとって大きすぎる。ソニーの11.6インチは多少大きめであるものの、美しいスタイルに仕上がっているせいもあり、許容範囲となっている。一方、東芝の12.5インチは大きすぎるのだ。この大きさのデバイスが必要となるアプリケーションは、グラフィックデザイン業界や医療業界、工場内での使用を前提とするものを別にすれば、それほど多くはないはずだ。
なお、ここで例に挙げた2つの機種は単なるタブレットではなく、キーボードを取り外せないタイプのタブレットであり、かつPC並みの機能を搭載しているという点に注意してほしい。
ソニーは、より頑丈そうなヒンジメカニズムを採用している。これによってディスプレイ部が完全に後ろに倒れてしまわないようになっているのである。こういったメカニズムの採用によって、VAIO Duo 11にはトラックパッドを搭載するスペースがなくなったものの、その引き替えに頑丈さを手に入れたように感じられる。対照的に東芝のSatellite U920tのメカニズムは、うっかり強い圧力をかけてしまった際の強度(特に経年変化を考えた場合)に不安が残る。
もちろん選択肢はこれらだけではなく、一風変わった製品を挙げることもできる。Dellの「XPS Duo 12」はベゼル内でディスプレイが回転するようになっているが、率直に言って壊れやすそうに感じられる。また、ASUSの「TAICHI」は2つのディスプレイが背中合わせになっている。2つのディスプレイをどのように使えばよいのかは悩ましいところだが、ユニークであることに異論はないだろう。