垂直統合型システム「Vblock」を提供する米VCE Companyが本格的に日本市場への参入を果たした。同社は、11月に日本市場の代理店として、ネットワールドとネットワンパートナーズと契約している。
Vblockはもともと、Cisco SystemsのIAサーバ「Cisco Unified Computing System(UCS)」やVMwareのハイパーバイザ「VMware vSphere」、EMCのストレージなどで構成される。またCiscoのUCSはレイヤを超えた市場への参入から“領空侵犯”と呼ばれ、Vblock自体も“オープンメインフレーム”として注目を集めた。
Vblockは2009年11月に米国で発表され、2010年2月から日本市場で提供されるようになった。これまでVblockは、日本市場においてシスコシステムズやヴイエムウェア、そしてEMCジャパン(それぞれの代理店としてのSIer)から別々に提供されるという形態を取っていた。だが、ここに来てVblockの大本の提供はVCE Companyが握ることになる。
Vblockという製品をどのように評価すべきか。戸惑う向きがあったのかもしれない。だが、実際のところは、大分県や鳥取県が導入しており、ソフトバンクテレコムもVblockを活用したサービス提供を発表、その有用性が理解されつつあると表すことができる。
それに影響されてか、Vblockと似たような構成の製品も市場に投入されつつある。Dellの「vStart」や(VCE Companyに出資している)EMCの「VSPEX」である。だが、VCE Companyの最高経営責任者(CEO)を務めるプラビーン・アッキラージュ(Praveen Akkiraju)氏は、そうした製品とは「Vblockは違う」と強調する。
各界のエグゼクティブに価値創造のヒントを聞く連載「ZDNet Japan トップインタビュー」。今回はAkkiraju氏にVCE CompanyとVblockの戦略を聞いた。
――VCE Companyは、Cisco、EMC、VMwareの3社の技術を統合した製品としてVblockを提供しています。複数企業の技術を統合した製品を販売することになった経緯から教えて下さい。

Praveen Akkiraju氏
発端はCiscoがサーバ市場に参入した頃に遡ります。CiscoのUCSはデータセンター基盤に必要なコンピューティング、ネットワーク、ストレージという要素を一元化して利用することを狙ったものです。
しかし、複数の要素を一元化するためには企業単体では不十分だと理解していました。同様のことを、ストレージベンダーであるEMC、仮想化技術を提供するVMwareも理解していました。
そこで3社が一緒になって次世代データセンター向けにコードネーム「Acadia」というプロジェクトを起ち上げ、Vblockを提供することとなりました。
――当初は企業を起ち上げることが目的ではなかったのですか?
メーカーとして製品を提供することが目的ではなく、システムインテグレーションのためのプロジェクトとして始めたものだったのです。正直なところ、初めてのカテゴリの製品ですから、市場がどのような受け入れ方をするのか想像がつきませんでした。
ところが、Vblockを投入すると予想以上に大きな反響を得ました。Fortune 500に名を連ねる世界的な大企業が多数採用してくれました。ユーザーの数は現在までに500社にのぼっています。
この成果は、3社でプロジェクトを開始する際に予測したものを大きく上回るものでした。この予想外の反響に応え、きちんとした製品として提供するためにはプロジェクトではなく、会社として製品を提供するべきだと判断し、3社に加えIntelの投資を得て、企業としてビジネスを開始したのです。
――Vblockが高い反響を得た要因がどこにあると分析していますか?
クラウドの登場により市場は大きな変化を迫られました。主な変化が3つ挙げられます。
1番目の変化はテクノロジの変化です。データセンターでは、ストレージやネットワーク、コンピューティングが異種のコンポーネントで集約され、アプリケーションのリソース消費は、従来は縦割りでした。しかし、複数のワークロードが稼働し、応答の良さ、柔軟性が必要な次世代アプリケーションを走らせるためには、縦割りではなく、もっと柔軟に消費する形態が必要となったのです。
2番目はリソースの消費モデルの変化です。「もっとダイナミックにリソースを使いたい」と要求するユーザーが増えています。データセンターの側もそれに応えられる体制が必要となったのです。