日本IBMは11月19日、複合イベント処理(CEP)ソフトウェアの新版「IBM InfoSphere Streams V3.0」の販売を開始した。税別価格は444万円から。前版より40%低料金という。
InfoSphere Streamsでは、IBMが独自に開発したCEP用言語「Streams Processing Language(SPL)」を活用してアプリケーションを開発する。SPLは、データを間引きする(フィルタリング)機能や複数のストリームを1つの出力ストリームに結合する機能、平均値や最大値を出力する機能など「オペレーター」と呼ばれるさまざまな機能を提供し、それらを組み合わせることでアプリケーションを生成する。これまでは、複数のオペレーターを組み合わせ、テキスト形式のソースコードを作成するといった操作が求められるため、SPLに対する一定の理解が必要とされた。
新版のInfoSphere Streams V3.0では、オペレーターが矩形のグラフィックとして提供され、開発環境の画面にドラッグ&ドロップで配置し、線で結合するという操作でアプリケーションを開発できるようになっている。SPLを理解することなく、CEP用アプリケーションを開発できるようになったと説明している。
新版には、「アクセラレーター」という5つの機能群も追加されている。「時系列アクセラレーター」では、予測分析や回帰、平準化など時系列データの分析に便利な20個のオペレーターを提供。株式市場の取引データや為替レートなどのリアルタイム分析に活用できるという。
「空間情報アクセラレーター」では、全地球測位システム(GPS)などの位置情報から距離や方向を計算するためのオペレーターを提供。地域特性に応じたマーケティングや効率的な配送ルールのけっていなどの用途に活用できる。
このほかにソーシャルメディア分析用アクセラレーター、センサやコンピュータから出力されるデータを取り込んで変換し、モデル化して分析するためのアクセラレーター、通信業向けのアクセラレーターも提供される。
同社は、非構造化データを処理するソフトウェアの新版「IBM InfoSphere BigInsights V2.0」も発表している。税別価格は111万円。InfoSphere BigInsightsは、分散並列処理フレームワーク「Apache Hadoop」をベースにしている。
InfoSphere BigInsights V2.0には、可視化機能としてビジネスインテリジェンス(BI)ツール「IBM Cognos」を新たに追加、分析結果を従来より簡単かつ多面的に出力できるという。4月に買収したVivisimoの検索機能を統合したことで、大量の非構造化データの検索と可視化ができるようになっている。