一方、PCメーカー上位3社のうち2社は、業績を維持しているようだ。最近の業績報告では、Lenovoは減速する市場にうまく対応し、売上高の増加を報告している。「9月30日を末日とするLenovoの第2会計四半期中、同社はPC出荷台数が前年同期比で10.3%増加したと報告した」(PCWorld)
またDellも、気まぐれな一般消費者から小規模企業に軸足を移すことで、PC事業を安定化したようだ。面白いことに、富士通の軟調を伝えたBloombergの記事には、終わりの方でDellの最高経営責任者(CEO)Michael Dell氏のコメントが掲載されている。
世界3位のPCメーカーであるDellは12月12日、Windows 8を搭載したコンピュータやタブレットに対する需要は強いとみていると述べている。DellのCEOであるMichael Dell氏は、テキサス州オースティンで開かれたカンファレンスで、このOSに対する関心は「極めて高い」と語った。
(トップ3のもう1社であるHPは、事業の大きな問題や、度重なるCEO交代、PC市場への一貫性のないアプローチなどにより、不調に陥っている。PC販売が前年比で16%落ち込んだのもうなずける。)
Windows 8の発売で売り上げが上向くと期待していたPCメーカーは、失望したはずだ。Acerの米国地区担当プレジデントEmmanuel Fromont氏は、New York Timesに対し、「市場に大きな刺激はなかった」と述べ、同社のWindows 8 PCの立ち上がりについても「ゆっくりした立ち上がりだということについては、疑問の余地はない」としている。
Net Market Shareが発表しているウェブ利用統計も、この結論を裏付けている。Windows 8の利用はほかのバージョンに比べ、発売後徐々に増加しているが、大きな上昇は見られない。以下のグラフは、2012年12月30日の朝に収集されたものだ。
発売後、Windows 8は徐々に増加しており、クリスマスが含まれる12月23日の週に大きく伸びている。
実際には、Windowsの新しいバージョンが出ればPC販売が大きく増えると期待する人は、今の時代を分かっていないと言える。PCは魅力的な消費者向けグッズではないし、プレゼントにするには高すぎる。PCメーカーは「クリスマス商戦」に間に合うように商品を発売するというのがこれまでの知恵だったが、現実にはPCの購入は一年中行われている。経済状況は(特に欧州では)悪く、企業や消費者は、必要にならなければPCを購入しないため、既存のPCは長く使われる。
このため、以前であれば3年から4年で入れ替えれていたPCが、今ではそれよりも1年から2年長く使われるようになっている。もしPCの平均寿命が4年から5年になったとすれば、年間販売台数が20%落ちるのと同じだが、この低迷する世界経済の中で、非現実的に魔法のような需要の増加を願っているPCメーカーにとっては、これは聞きたくない話だろう。