「Sandy Bridge」で導入されたHigh-kメタルゲートと「Ivy Bridge」で導入されたトライゲートは現在のIntelチップに大きな違いをもたらしているが、製品に組み込めるようになるまでには10年かかっている。さらに、トランジスタに対する量子効果を排除して、トランジスタに0と1を明確に伝えるクリーンな信号を得られるだけの電子を送り込めないという本質的な問題に対処できる新素材が必要とされているが、仮にそのような素材が存在しているとしても、まだ実験段階だ。
Intelは、次の基礎研究を行うのに足りるだけの時間を取れるように、プロセスを最適化する必要がある。しかし、量子レベルに到達すると、この基礎研究はずっと難しいものになる。
今のところ、同社は「Atom」プロセッサで自分自身を食いつぶし続けている。これは、ARMに食い殺されるよりはましだという判断からだ。少なくとも、Atomの技術が最先端だった数年前には、その工場施設は非常に高価だった。同社はLTEのチャンスも逃しており、これはスマートフォン市場での競争力にマイナスの影響を与えざるを得ない。そして、もし「Haswell」チップが2013年半ばまでリリースされないといううわさが本当であれば、Intelは「チックタック」モデルと呼ばれる通常のペースから6カ月遅れることになる。チックタックモデルでは、ダイの縮小に1年かけ、その12カ月後に新しいアーキテクチャをロールアウトすることとなっている。
Intelはこの忙しさの中で、社内政治の問題を乗り越えられるのだろうか?私はなぜ「Clover Trail」がまだ大量供給されていないのか理解できない。電力消費量は十分下がったにもかかわらず、「Windows 8」で「Connected Standby」機能をサポートできるCoreチップが世に出ない理由の1つに、シリコンバレーとイスラエルのチップ開発チームの間の対立があるのかもしれない。
Connected Standby、「Ultrabook」、GPU
一部のIvy Bridge Coreモデルが17W TDP(熱設計電力)であり、Ultrabook用プロセッサである「Shark Bay」は15W TDPになると言われている。Haswellでは8から10W TDPになることを考えると、 ようやくCMOS電圧レギュレータとアクティブアイドル状態を実現するS0ixステートのサポートをパッケージ化したもの(Connected Standbyに必要な要素)が手に入るようになる可能性がある。