とはいうものの、Connected StandbyをサポートするCoreチップがまだ出ていない理由は、CPUだけでなくすべてが低消費電力活動状態に切り替わる必要があるからかもしれない。これは、SoC(System on Chip)を作ることによって、すべてのサポートコンポーネントをコントロールできれば簡単だ。SoCとは、統合と対応しなくてはならないばらつきの少なさを意味する(Qualcommの大成功は、よいARMチップを作ったことだけでなく、それを1年に何十、何百というスマートフォンを大量生産するのに使える統合プラットフォームにしたことによるものだ)。
Ultrabookプログラムも、OEM各社に低電力消費コンポーネントを使わせるIntelの方策の1つだが(GPUが作動しているがゆえに充電が遅くなる問題を解決するために、画面の状態をキャッシュするRAMを付属させたスクリーンなども含め)、200ドルタブレットや300ドルPCの低価格競争を継続したいOEMからは、従来通り抵抗を受けるだろう。
その一方で、Intelは依然として、確実なハードウェアアクセラレーションを実現するだけの堅牢性をもったグラフィックドライバを作ることの大切さを理解できていない。Adobeがハードウェアアクセラレーションの利用を保証するIntelのGPUがどれだけ少ないか、「Internet Explorer」バージョン9や10で、「本物の」GPUとIntelの統合グラフィックチップではどれだけハードウェアアクセラレーションから受けられる恩恵が違うかを考えてみるといい。GPUへの負荷分散は、ムーアの法則を迂回する1つの方法だ(GPUは最上位のマルチコアCPUよりもはるかに多くのコアをもっており、単純で、簡単に並列化できる処理にのみ使用できるが、ARMシステムが実力以上の力を持っているのは、専用のハードウェアに負荷を分散しているからだ)。
Intelは物理学の壁と、モバイルコンピューティング市場での激しい競争、高額な製造工場、ビジネスモデルの間で身動きが取れなくなっている。
ひょっとすると、同社が開発者にサービスを提供するソフトウェア企業になろうと努力しているのは、これが理由かもしれない。同社は、言語サポートや開発ツールに、音声認識やジェスチャーによる入力などのNUIの概念や、Compute Continuumの下での位置情報サービスなどを加え、Intel PCで動作するあらゆるOSの下で動く、独自の仮想化レイヤを作った。そしてそれらの取り組みすべてが、さらに幅広い業界のプレイヤーとの競争を招いている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。