ポストPC時代とはどのような時代なのか、あるいはそのようなものがそもそも存在するのかについて、インターネット上でさまざまな議論が交わされてきている。こういった議論はたいていの場合、タブレットやその他のモバイルコンピュータという、大衆に受け入れられた新たなハードウェア形態を中心に展開している。
ポストPC時代の存在自体をあなたが信じているかどうかは別にして、コンピューティング業界に大きな変革の波が押し寄せているのは間違いない。しかし、一般に信じられていることとは裏腹に、こういった変革はハードウェアよりもOSと、ネットワークへの接続性に関連している。
筆者の同僚であるAdrian Kingsley-Hugesは、ポストPC時代のコンピュータがどういったものになるのかという疑問に関する興味深いコラムを執筆している。彼は、われわれ(コンピュータユーザー)のテクノロジとのつきあい方がどのように変化しているか、そしてその変化がPCハードウェアの今後の進化にどう影響するのかという点に目を向けている。
PC時代からポストPC時代へシフトするということは、デバイスがデスクトップPCやノートPCからスマートフォンやタブレットに置き換わること以上の意味を持っている。つまりこれは、われわれがデバイスをどのように使い、さらにはどのような関係を築いていくのかという話なのだ。最も重要な変化は、ポストPC時代のデバイスがより私的なものとなり、他の人と共有する可能性がずっと低くなるという点にある。つまり、PCは多くのユーザーが使用する場合もあるものの、タブレットやスマートフォンは1ユーザーの専用機となる場合が多いというわけである。
この所見は、PCの利用方法がどのように変化していくのか、あるいは既に変化しているのか(それが現実と言えるだろう)をよく表している。こういった変化によって、OEM企業は新しいフォームファクタのハードウェアを市場に投入することになるが、ポストPC時代を定義しているのはこれらのハードウェアではない。