著作権とビジネスモデル
Napsterから何を学んだのでしょう。まずは著作権の問題をクリアしなければサービスは継続できない一方で、インターネットという技術を活用すると著作権を無視したファイル共有が簡単にできてしまう――このジレンマを解決しなければいけないということです。
著作権の問題についてはDRMとよばれるデジタル著作権管理技術の導入が度々試みられましたが、機種依存などユーザー側の不便さから世界的にはDRMフリーの流れが起きました。DRMフリーを加速させたのは、AppleのiTune Storeで販売される楽曲がDRMフリーで提供された影響が絶大でした。
日本ではかつて携帯キャリアが独自サービスを展開しており、音楽配信では着うた系のサービスが大きなシェアを取っていたためDRMフリー化が遅れましたが、iPhoneやその他スマートフォンのようなキャリアに依存しないプラットフォームが一般化することによって、DRMフリーへの流れは止められなくなってきました。
Appleが提供する音楽ファイルのクラウドサービスである「iTunes in the Cloud」では、日本でもついに全曲DRMフリーとなりました。AmazonもDRMフリーのMP3ファイルの販売を開始し、実質的に音楽音声コンテンツのDRMフリーはスタンダードとなりつつあり、音楽業界としても著作権をどう取り扱うべきか、ひとつの大きな転機となりそうです。
出所:「日本のレコード産業2012」(日本レコード協会)を元にDTC作成
出所:Apple 発表数値を元にDTC作成