NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は4月18日、クラウド事業戦略「Global Cloud Vision 2013」を発表した。インフラを持つ「通信事業者ならではの強みを生かす」(同社代表取締役社長の有馬彰氏)ことを特長に、2011年度時点では840億円だったクラウドとデータセンター事業の収益を、2015年度には2000億円以上とすることを目指す。
Amazon Web Services(AWS)と真っ向から競合する低価格サービスにも意欲的で「この世界でやっていくには、Amazonよりも高いサービスではダメでないかと思う」(有馬氏)とIaaS分野では全方位でクラウド事業に取り組む。
有馬彰氏
クラウドによる新事業展開を急ぐ
有馬氏はクラウド事業に注力する背景として「市場環境の変化に伴い、音声事業の収益が減少しているが、データネットワーク通信事業でも毎年減少している。収益を確保できる新たな事業創造が急務であり、クラウドによる新たな事業展開を急ぐ必要がある」と説明した。
2011年度はクラウドとデータセンター事業の収益が全体の8%程度にあたる840億円。2015年度には2000億円以上に拡大することを目標として掲げている。これを実現するためにGlobal Cloud Vision 2013として、次の9つの特長で競争優位を実現するという。
(1)高品質、高信頼なグローバルインフラストラクチャ
(2)多様なニーズに対応したグローバルクラウドサービス
(3)クラウドシームレスなグローバルネットワーク
(4)運用管理業務を効率化するグローバルカスタマーポータル
(5)グローバルに対応可能なクラウドマイグレーションサービス
(6)お客様ICTシステムをトータルに守るグローバルマネージドセキュリティ
(7)生産性向上に貢献するグローバル汎用アプリケーション
(8)お客様ICTシステムの一元化、効率化を図るグローバル運用管理サービス
(9)グローバルレベルでの多様なパートナーシップ
(1)のグローバルなインフラストラクチャとしては、データセンター拠点数とそのサーバルーム面積は3月時点で138拠点。サーバルーム面積15万8000平方メートルだが、現在計画中のものを含めると144拠点、17万7000平方メートル以上となる。
海外でのデータセンター事業は、グローバルな統一ブランド「Nexcenter」の名称で展開し、買収した海外のデータセンターを含め、日本91拠点、中国と香港で9拠点、欧州12拠点、米国7拠点、アジア太平洋(APAC)地域19拠点にデータセンターを置いている。