Appleが過去最大となる170億ドルの社債を発行、結果として最大92億ドルの税金を節約……そんな話がこの連休中に一部のニュースサイトなどで話題になっていた。
本連載で何度か取り上げてきたいわゆる「Repatriation Tax」に関連するこの話について、いくつか目についた数字などを今回は紹介したい。
[Apple Saves Billions By Not Repatriating Profits - Bloomberg TV]
170億ドルの社債発行、注文は3倍以上にも
WSJ記事(註1)には過去の大型社債発行をまとめたリストがあるが、これによるとこれまでの最大はRocheの165億ドル、続いてFrance Telecomの164億ドルなどとなっており、Appleの社債発行額はこれらを抜いて1位に。また同記事によると、投資家からの需要も旺盛で購入注文の金額は約520億ドルと発行額の3倍以上に上ったという。
[Apple's Record Plunge Into Debt Pool - WSJ]
TUAWブログにはこの内訳が出ていて下記のようになっている(註3)。
図
借入金利は平均1.85%、Appleが払う利子は年間推定3億1400万ドルに過ぎず、さらにこれに利子支払い分にかかわる税控除(年間推定1億ドル)が加わって、実質2億ドル少々のコストで済んでしまうという(Bloomberg 註3)。
なお、別のWSJ記事(註4)によると、Appleの信用格付けは上から2番目のAAプラス(Standard & Poor's)、 Aa1(ムーディーズ)でトリプルAのMicrosoftに比べてわずかに低いが、それでも前週に売り出されたMicrosoftの社債とほぼ同じレベルの金利(10年ものでApple2.415%、Microsoft2.413%)で、また発行金額が大きかったため、社債発行を引き受けた投資銀行への手数料は0.3%で、Microsoftのそれ(0.45%)を上回る有利な条件になった(いずれも10年ものの場合)。ちなみにこの社債発行でAppleが支払った手数料はGoldman Sachsが3830万ドル、Deutsche Bankが930万ドルなど、あわせて5300万ドルだったという。