エリック松永のメディア・デモクラシー講座

OTTは「限界を超える」か - (page 2)

松永 エリック・匡史(プライスウォーターハウスクーパース)

2013-05-17 20:50

 テレビ/レコーダー型とは文字通りテレビ/レコーダーから直接OTTサービスを享受するものです。

 テレビ/レコーダー型はさらに下記3つのタイプに分類することができます。

  • 内蔵タイプ
  • STB(セットトップボックス)タイプ
  • スティックタイプ

テレビ型
テレビ型

 内蔵タイプとは、テレビ/レコーダーが既にOTTに対応しており、テレビ/レコーダーをインターネットにさえ接続すれば、特に難しい設定なしで、気軽にOTTを楽しめるというものです。筆者もテレビ内蔵型でHuluを利用していますが、テレビメーカーによっては「TSUTAYA TV」や「アクトビラ」などにも対応しています。

 STBタイプとは、最新のテレビでなくても、既存のテレビにSTBを接続することにより、OTTサービスが利用可能になるもので、「Apple TV」などがこれにあたります。また、欧米では、「Xbox」など据え置き型ゲーム端末経由でのOTTサービス利用が人気です。

 スティックタイプもSTBと同様にテレビに接続することによりOTTサービスが利用可能になるものです。STBよりもさらに手軽で、テレビのHDMI端子などに小さなスティックを差し込むだけで、OTTサービスが利用できないテレビも利用可能に変身させてしまうというものです。中にOS、アプリ、ネットワーク接続機能をが盛り込まれているものです。2012年にRokuなどが相次いで製品を発表し、余計な配線も設定もいらない、ただスティックを挿すだけということで話題になりました。

 このようなスティックタイプはそれ自体がOTTサービスを提供するわけではなく、サービスとしてNetflixやHuluなどのOTTがサービスとして乗っているモデルです。OTTプラットフォームの新しい形といえるでしょう。最近ではOTTエリアまで開発費がまわせないような機種やメーカーもこのUSBの利用を推奨するようになってきています。1億総スマートテレビ化の流れです。

 このスティックを挿せば低機能のテレビがネット接続され、HuluやNetflixが楽しめ、視聴できるチャンネルが一気に増大する可能性を秘めています。また日本でもソフトバンクやKDDI、NTTドコモが相次いでスティック型デバイスを発売しています。彼らは単にスティック型デバイスを提供するだけでなく、併せて、動画コンテンツ、定額制の見放題プランの提供を表明しています。

 つまりスティック型デバイスだけでなく、その上に流れるコンテンツ、そして料金徴収システムまで、いわば川上から川下まで提供することにより、フィーチャーフォン時代のような主導権を再び握ろうとしているかのようにも見ることができます。そういった意味においても、非常に注目に値する分野となっています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]