エリック松永のメディア・デモクラシー講座

OTTは「限界を超える」か - (page 3)

松永 エリック・匡史(プライスウォーターハウスクーパース) 2013年05月17日 20時50分

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OTTがなぜ騒がれるのか

 これまでの話で、おそらくHuluなどのOTTを利用されている皆さんは、わざわざOTTと騒ぐほどのサービス? 普通のVOD(Video On Demand)でしょ? と思われるかもしれません。正直に言いますが、騒ぎになる問題は内部紛争のようなものにあります。

 ネットワークの料金はユーザーが負担していて、サービスを提供しているOTT企業は散々ネットワークに負荷をかけているにもかかわらず、ネットワーク利用料を払っていないのはけしからんと通信キャリアが主張したことに始まります。

 コンテンツの高画質化は大量データの伝送負荷をネットワークに課します。ユーザーは例えば映像サービスの品質がネットワークの問題で低下していれば、通信キャリアが悪いと思う。それを避けるためにはネットワークの品質向上のため基地局の増強などの高額な設備投資をしなければいけない。

 なのに、OTTはその負担を全くしないのはどういうことか、という話です。ちなみに議論が巻き起こったきっかけとなったOTTは「Skype」です。Skypeはデータ通信部分を利用して音声サービスを開始したため、この議論が巻き起こりました。OTTは映像や音楽だけではなく基本的な音声サービスも含まれるのです。

出所:各社のIR公開資料を基にDTC作成
出所:各社のIR公開資料を基にDTC作成

通信キャリアもネットワークサービスと切り離しでOTTに参加表明

 OTTへの対抗策として「目には目を」の動きが活発になってきました。スマートフォン、タブレットの普及があまりに急速で、同時にApple、Googleのプラットフォームがそれに従って強大な力をもったため、通信キャリアは「土管化」への道を突き進む恐怖にさいなまれることになりました。スティック型デバイスの提供を各通信キャリアが相次いで表明してきていることは先ほど述べましたが、それ以外にもさまざまな複数の動きがここ最近、特に活発になってきました。

 例えば、通信キャリアであるNTTドコモは提供する「dゲーム」というゲームサービスを自社以外のキャリアが提供するスマートフォン上でも利用できるサービスを開始しました。今後、ほかのショッピング系サービスもOTTサービスとして、キャリアフリーのサービスとして提供する計画も明らかにし、いよいよ通信キャリアも重い腰をあげOTTとして本格的なサービスを展開する動きになってきたのです。

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