エリック松永のメディア・デモクラシー講座

OTTは「限界を超える」か - (page 4)

松永 エリック・匡史(プライスウォーターハウスクーパース)

2013-05-17 20:50

プラットフォーム開放の動き

 アプリケーションを仕切るのはOSやコマースのプラットフォームです。プラットフォームの王者Apple、Googleの牙城を崩すべく、新たな動きが注目されています。その名も「Tizen」。プラットフォームとしてはAppleのiOS、GoogleのAndroid、MicrosoftのWindows Phoneに続くプラットフォームの地位を狙い、アプリケーションのサービス基盤を自分の範囲内に持ってこようと韓国のSamsungが主導し実現に向けています。課題は圧倒的な数のアプリケーションを持つApple、Google陣営に立ち向かえるアプリサービスを立ち上げられるかにかかっています。

 通信キャリアがOTTサービスを立ち上げる動き、通信キャリアやそのほかのプレーヤーもプラットフォームを自分の手の内にするための施策が今後、続々と現れてくるでしょう。

OTTの真の課題は?

 ここまでの話でOTTとは何かについて理解できたと思います。しかし、本来、誰がOTTを取るかという陣取り合戦はサービス提供者の理屈であり、消費者にはあまり利益があることではありません。

 冒頭にOver the Topを、通常のサービスの枠を超えた感動を呼ぶ仕組みと定義しました。OTTを誰が取るかではなく、どれだけOTTのサービスが革新的でユーザーの気持ちをつかむか、まさに「限界を超える」ことが大事なのです。

 OTTのサービスについては、さまざまな事例からこの講座内で議論していきましょう!

エリック松永(Eric Matsunaga)
プライスウォーターハウスクーパース株式会社 エンターテイメント&メディア リードパートナー
バークリー音学院出身のプロミュージシャンという異色の経歴を持つアーティストであり、放送から音楽、映画、ゲーム、広告、スマホまで、幅広くメディア業界の未来をリードする人気メディア戦略コンサルタント。アクセンチュア、野村総合研究所、デロイトトーマツコンサルティンクグメディアセクター APAC統括パートナーを経て、現職。主な著書:『クラウドコンピューティングの幻想』(技術評論社)、『イノべーション手法50 -デフレ時代を勝ち抜く経営術-』日経BPムック。GQでも連載を掲載中。その他、メディア系専門誌、ウェブメディアに執筆多数。多方面での講演も話題になっている。

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