OTTとは?
OTTは「Over the Top」の略語で、目標や限界を超えるという意味があります。さて、Over the Topと言えば思い浮かぶのは1987年、Sylvester Stallone主演の映画『Over the Top』という方もいるでしょう。
複雑な人間関係の中、息子への想いをぶつけてアームレスリングの世界大会に挑戦する父親の物語で、息子への愛が体力の限界を超えた健闘をみせつける--アメリカンドリームを象徴するような感動的な映画でした。
しかし、今回のテーマになっているOTTは、ネットワーク事業者の上でサービスを提供するサービスを指します。本来の意味からすれば、通常のサービスの枠を超えた感動を呼ぶ仕組みであると推察されます。具体的には「Hulu」や「Netflix」のように、テレビ、スマートフォン、タブレットで楽しめる映像コンテンツサービスをイメージすればいいでしょう。
こうしたOTTサービスは日本ではこれからの感もありますが、世界的には近年非常に人気を博しており、利用者も右肩上がりで増えています。ただし、さまざまなタイプが混同し、理解しにくい世界になっているので、この講座で整理します。
OTTの種類
OTTはその提供スタイルにより、大きく3種類に分類されます。
- PC型
- セカンドスクリーン型(スマートフォン、タブレット)
- テレビ/レコーダー型
PC型の場合、ブラウザ上でサービスが提供されます。ネットワークはISPから提供された光ファイバなどのブロードバンド回線経由、ハードウェアは各PCメーカー、MicrosoftやAppleのOS上で、ブラウザを経由してサービスを提供するモデルです。
PC型のイメージ
セカンドスクリーン型では、ブラウザではなく専用アプリをダウンロードしてアプリ経由でサービスを提供するモデルであり、スマートフォンやタブレットでコンテンツを視聴するモデルがこれにあたります。つまり、スマートフォン、タブレットでの視聴ですので、現状はApple、Googleの提供するOSおよびアプリケーション提供プラットフォームがベースとなっています。MicrosoftもWindowsベースのWindows Phoneを提供していますが、現在は苦戦を強いられています。
セカンドスクリーン型
ちなみに、少し形は違いますが、携帯電話(フィーチャーフォン)時代にもセカンドスクリーン型に似たサービスは展開されていました。ただし、フィーチャーフォン時代には、端末開発からOS、さらにはアプリケーション、サービスをNTTドコモなど通信キャリアが主導権を握っており、それぞれ独自のプラットフォーム上でコンテンツを展開し、キャリアごとにさまざまな差別化が図られていました。
しかし、スマートフォンの時代になり、スマートフォンのプラットフォーマー、すなわちAppleやGoogleがOSからアプリ提供までの主導権を握るようになると、通信キャリアは、サービスコンテンツに対する主導権を失います。思うように独自のサービスを展開できなくなっただけでなく、競合他社との差別化が非常に難しい状況となってしまいました。
つまり、通信キャリアはデータをただ流すだけのいわゆる「土管」と化してしまい、その上位レイヤで展開されるさまざまなサービスやコンテンツビジネスにはかかわることができないビジネスモデルになってしまったのです。