Red Hatの最高経営責任者(CEO)であるJim Whitehurst氏は、エンタープライズソフトウェア企業は現在、状況に適応できなければつぶれるという転換点にあると指摘した。「OpenStack」は価値あるものだがエンタープライズ向けのサポートを必要としており、「Hadoop」は強力なオープンソースプロジェクトになったが商業的には断片化されつつあるという。
私は数週間前、Delta Airlinesの元最高執行責任者(COO)で、2007年12月からRed Hatを率いているWhitehurst氏に、サンフランシスコで話を聞いた。その要点を紹介しよう。
--現在のオープンソースの状況をどう考えているか。
Whitehurst氏は、オープンソースはイノベーションのけん引役として重要な存在になったと述べている。「オープンソースは、イノベーションの発露そのものだ。オープンソースは他のもののコピーをするところから始まったが、今では最先端にある。その証拠に、ビッグデータやSDNが今ではオープンソースになっている。新しいことは、オープンソースの分野で起こっているのだ」と同氏は説明する。
--エンタープライズソフトウェアの将来をどう見ているか。
エンタープライズソフトウェア市場は流動的な状態にあり、今後アプリケーションがどのように消費されるか、企業がどのように反応していくかは未知数だと、Whitehurst氏は言う。現在は、FacebookやAmazon、Googleなどの企業が、ベンダーの先を行っている。「多くのエンタープライズソフトウェアは、問題を特定してカスタムソリューションを作るためのものだ。しかし、一般的なシステムが使われることが多くなってきている」とWhitehurst氏は言う。
Whilehurst氏は一般的なシステムを(この一般化は、オープンソース化と安価なハードウェアによって起こったものだ)、規格化された部品によって燃焼機関が生まれた話になぞらえた。一度部品が標準化されてしまえば、そのあとには新しいイノベーションの波がやってくる。Whitehurst氏は、コンピューティングシステムの日用品化が進むにつれて、エンタープライズソフトウェア企業の「利益プールが蒸発する」と述べている。「ほとんどのインフラソフトウェア企業にとって、これは非常に大きな課題だ」
Whilehurst氏は、少なくとも、エンタープライズソフトウェアベンダーの市場環境が劇的に変化すると考えている。エンタープライズソフトウェアに関する道筋の1つは、今後エンタープライズソフトウェアが、サービスプロバイダーに組み込まれてしまう可能性あるというものだ。例えば、現在SAPやOracleが提供している機能は、米貨物輸送会社UPSのような公益企業が提供する、より幅広いロジスティクスサービスの一部になるかもしれない。「ISV(独立ソフトウェアベンダー)と企業の間の境界線がぼやけてきている」とWhitehurst氏は言う。「多くの企業がソフトウェア企業になるだろう。その一方で、GEは大量のソフトウェアを持っているが、ソフトウェア企業ではない」