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得体の知れない話題の端末「Google Glass」について - (page 2)

三国大洋

2013-05-31 19:48

 もう1つ厄介そうなのは、Glass(や、またはその類似物)が「不可視の存在」になってしまった時のこと。この端末が今のような姿形で、良くも悪くも人目を引く存在であるうちは、大きな心配はない。冒頭のSNLのコントに出てくるような人物--不思議なメガネみたいなものをかけ、一人でブツブツつぶやいたり、やたらと(メガネの)ツルをこすってみたり、あるいは首を不自然な方向(上向き)に振っているような、おかしな挙動の人間を見かけたら、簡単に避けて通れそうに思えるから。

 ところが、これが普通のメガネと区別が付かないような代物になった途端、そんな単純な回避策は取れなくなる。現在のカメラやスマホの場合のように(ただし意図的な隠し撮りの場合は除く)、これから誰かが画像や映像を撮影しようとしていれば、自然とそれを避けたりもできようが、メガネに埋め込まれたカメラではそうもいかないだろう。

 Glassの、初めて世に出たプロトタイプに比べると、現行の製品はかなり小型化、軽量化されている。ほんの短期間に大したものと思うし感心もするが、同時にこの先ますます「目に付かぬもの」になっていくのだろうとの不安もある。また実際に、Googleが「Warby Parker」というお洒落なデザインで、しかも廉価なメガネを販売することで知られるベンチャー企業あたりにもGlassに関して相談を持ちかけている、などという話もすでに出ている(註8)。

 Glassのアイデアのもとになったコンタクトレンズ型電子端末まで近い将来一気に進むかどうかはわからないが、洒落た形をしたメガネ(組込型端末)の登場など時間の問題だろう、と思えてしまう。

 いずれにせよ、先に触れたGoogleへの公開質問状への回答期限が6月14日になっている。特に「自分の姿を勝手に撮影されたり、オンラインで共有されたりしたくない」人たちの権利をどう守るつもりなのかといった点などについて、Googleがどう考えているかには注目したい。

「水爆の父」の孫が率いる「Google X」

 ところで。Google Glassや例の自動運転車などを生み出した「Google X」の特集記事が、Businessweek(BW)の最新号に掲載されている(註9)。民間企業での基礎研究開発の減少や、あるいは米国で長らく「先端科学研究の総本山」的な役割を担ってきたアメリカ航空宇宙局(NASA)でさえ予算カットが続く中で、途方もない目標を掲げた取り組み「Moonshot」を進めているとされる、Googleのこの研究所には、「今時希有な存在」として大きな注目や期待が集まっているようだ(「隠されると余計に気になる」という人情も多分に働いているかもしれないが)。

[Inside Google's Top-Secret Research Lab] (取材・記事執筆を担当したBrad StoneがBloomberg Westに登場)

 この類の記事--取材対象となる企業の協力の下、関係者のインタビューなどが盛り込まれたようなものはBWに限らず、ほぼ間違いなくいわゆる提灯記事であり、 「Googleの秘密の研究所の内側」(Inside Google's Secret Lab)と題された、この記事も例外ではない。

 目新しい情報(取材媒体への「お土産」)といえばMakani Powerという空中風力発電の技術を開発する(Googleの)投資先をGoogle X主導で買収した、ということくらいで、現在進行中の秘密プロジェクトについての話などは当然出てこない。また「Google Car(自動運転車)を公道で通行可能とするための州法改正に向けて、ネバダ、フロリダ、カリフォルニアの各州で、Googleがどう根回ししたか」などといった俗な話も出てこない。



[Autonomous Airborne Wind Power]


 そういうBW記事の中で一番印象に残ったのは、現在Google Xで責任者を務めているAstro Tellerなる人物(本名はEric Teller)が、 「水爆の父」として知られる物理学者Edward Tellerの孫にあたるという点(註10)。

 Google Xというと、往年のベル研究所(Bell Labs)やXeroxのパロアルト研究所(PARC)といった有名な研究機関の流れを受け継ぐ存在、といった語られ方をしてきた印象があった。だが、この話を目にして(それらの民間の研究所ではなく)「かつてのロスアラモス国立研究所の直系なのかもしれない」といった想いも浮かんできた。

 Astro Teller当人は、「祖父さんは科学者出身の政治屋みたいな形で人生の大半を過ごしてしまった(政治の世界の動きに翻弄された)が、本当は科学者として研究生活に没頭していたかったはず」と語り、それもあって「自分は大好きなことだけをするように心がけている」などと述べている(註11)。

 自分の人生をどう使おうとそれこそ本人の勝手だが、それとは別に「自分(たち)の手で生み出したものが社会にどういう影響を及ぼすか」といった点について、このTellerという人物はどう考えているのか、祖父の生涯や功績、そして自らが今進めようとしている事柄を踏まえながら、自分がそうした道義的な問題をどう捉えているのか……もし直接話をする機会があれば、そんなことを訊いてみたい、などと思った次第である。

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