アナリストの視点

変化する通信手段--フリーミアムモデルの崩壊も

土佐恒広(矢野経済研究所 主任研究員) 2013年06月25日 18時03分

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無料通話が余る、キャリアメールを使わない?

 最近、われわれ矢野経済研究所が一般消費者に対して実施した調査の中で、以下のような気なる結果が出た。

 メッセージの「吹き出し」によるコミュニケーションの分かりやすさ、タイトル入力の手間がないためなどの理由が考えられる。


  • 携帯電話の無料通話が余り出している
  • 「LINE」など音声無料アプリを使っているようだが、テキストメール、アプリを使う頻度が増えている
  • SNSなどの利用により、PCメール、キャリアメールの利用頻度が減少していた

 スマートフォンが普及する中で一般消費者における「コミュニケーション」が大きく変化している。特に携帯電話(フィーチャーフォン)が普及し始めたころから、消費者におけるコミュニケーションに費やす時間・頻度は大きく増加している。

 本稿では過去のコミュニケーション(端末、サービス、回線、アプリケーションなど)の変遷を見るとともに、今後のコミュニケーションにおける課題と変化ついて、考察していきたい。

コミュニケーションが大きく変わったポイント

 1990年代以降、一般消費者のコミュニケーションは時間的に大きく伸びており、コミュニケーション手段が変化したポイントがいくつかある。

  1. ADSLおよびPCの普及(電子メール)
  2. 携帯電話(ケータイメール)の普及
  3. スマートフォン・タブレットの普及

 1のPCおよびADSLの普及は、一般消費者のコミュニケーションにおいて、「固定電話からPCなどによるコミュニケーションへの変化」の第一歩となった。固定電話による音声通話やファックスから、PCを使った電子メールによるコミュニケーションの頻度が多くなった。これらは、「リアルタイム型コミュニケーションからストック型への移行」も意味する。

 2の携帯電話の普及は、固定電話やPCなど「家(世帯)共有の端末」から、「個人の端末」が普及するということでもある。携帯電話による音声コミュニケーションはいつでもどこでも相手とコミュニケーションをとりたいという、強い欲求にこたえたサービスである。また、いわゆる「携帯メール」により、「音声から文字へ」の移行を進めたという点でも、コミュニケーション手段を大きく変えた出来事といえる。

 3のスマートフォンの普及は、日本国内の場合、PCサイトとケータイサイトの垣根をなくすことなった。また、それまで移動体通信事業者にクローズされていたコミュニケーションの主導権が、アプリケーションベンダーに移ったという大きな出来事ともいえる。

 SNSやソーシャルゲームなどのサービスアプリケーションが「フリーミアム(基本サービスは無料、オプションは有料)」で提供されているのも大きな特徴である。消費者が自由にサービスアプリケーションを利用できるという点も見逃せない。

 SNSやソーシャルゲームは、過去、現在、そして新たなつながりを生んだという点で、新たなコミュニケーションツールが誕生したといえる(日本の場合はケータイゲームなどが先行していたが)。

 このように、固定電話(システム)が発明された1900年から2000年までの間の約100年間における変化以上に、ここ20年間でのコミュニケーションサービスは、ツールによってより大きな変化が起きていることが分かる。

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