矢野経済研究所は8月5日、国内および海外におけるCAE(Computer Aided Engineering)市場規模について調査結果を発表した。同研究所はCAEの市場に関して国内外とも6~9%程度、堅調に成長すると予測した。
CAE(Computer Aided Engineering)とは、コンピュータにより製品の設計や開発工程を支援するという概念であり、それを実現するためのツールとして、強度や流体における抵抗などの特性を計算するさまざまな解析システムを指す。

CAE世界市場規模推移、予測
2012年のCAEの世界市場規模は、前年比10.2%増となる2653百万米ドル(事業者売上高ベース)だった。今後も成長傾向にあり、2017年の同市場規模は4100百万米ドルになると予測する。
このような成長を予測する根拠として矢野経済研究所は「米国経済が比較的堅調に推移していることなどにより製造業の設備投資が回復し、CAE世界市場も順調に推移したとみることができる」とした。
矢野経済研究所はCAE世界市場に関して、2013年以降も年平均成長率9%前後成長するものの、成長率は鈍化すると予測する。その要因として、中国の経済成長の鈍化や、長引く欧州経済の落ち込みにより、製造業の業績回復が限定されることが挙げられるという。さらに、CAE世界市場においてウェイトの大きい分野である構造解析や熱流体解析は成熟分野であり、それに代わるほど高い伸びを達成する分野が出ていないことなどを挙げた。

CAE国内市場規模推移、予測
2012年のCAE日本市場規模は、前年比7.1%増である598億円(事業者売上高ベース)であった。その後も年6%程度成長を続け、2017年の同市場規模は810億円になると予測した。また、日本市場に関して、2011年の東日本大震災および円高、世界経済の減速などにより国内製造業の設備投資も減速し、日本国内におけるCAE市場の回復は全世界よりもペースが遅い状況にあるとした。
矢野経済研究所は、「現在、市場が円安傾向かつ、世界経済も回復基調であることから、日本国内の製造業の設備投資も回復傾向であり、CAE日本市場は、今後も緩やかな成長を続ける」と予測している。