競合関係を超えた意義で発足した「超高速開発コミュニティ」とは

怒賀新也 (編集部) 2013年08月08日 10時15分

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 企業向けソフトウェア開発の自動化ツールを提供する13社が発起人となり、ユーザー企業やシステムインテグレーターを巻き込むことを視野に入れた新たなコミュニティとして、「超高速開発コミュニティ」が8月6日に発足した。

 経営環境の変化のスピードに情報システムが対応できておらず、多くの企業が今も労働集約的な保守体制を敷いていることを課題として共有する。情報システムの仕事が、生産性の低さ、「きつい、厳しい、帰れない」の新3K職場などと呼ばれていることに、危機感を持っているという。

会長を務める関隆明氏
会長を務める関隆明氏

 ICT経営パートナーズ協会会長、前ITコーディネータ協会会長の関隆明氏が会長を務める。このほか、インフォテリアやキヤノンソフトウェアなど後述の13社が設立メンバーだ。設立の狙いは2つ。「企業のスピード経営の実現」「魅力あふれるIT業界への変革」を挙げている。

 8月6日の記者発表会には各社の代表が集まったが、全体としては「発足したばかりで詳細はこれから」という状態。現状で決まっているのは「超高速開発ツール」の導入事例を公開し、ユーザー企業に広く浸透させること。ツール利用における開発方法論の共有も進める。

 これを実現するため、メールマガジンの発行やセミナーを実施する。特徴的なのは、ITベンダーやシステムインテグレーターだけでなく、ユーザー企業もコミュニティのメンバーに迎えようとしている点にある。年会費は、ソフトウェアベンダーが5万円。ユーザー企業は5000円で、2014年3月までは無料とする。

 ややもすると「ユーザー企業を会員として囲い込んで自社の“超高速開発ツール”を売り込むのが主目的ではないか」、との見方が出ても無理はない。

 しかし、そこは「あくまでも設立の意義の下、普段は競合関係にあるソフトウェア企業が協力し合うコミュニティ」であることを、発起人の多くが強調した。

 「企業向けソフトウェアの主役は海外ベンダーの製品だ」との指摘が多い中で、日本のソフトウェア業界の発展という観点からすれば、こうした意義を持って関係企業が結束し、ソフトウェアの機能や導入効果を広く伝えていく取り組みは大切だ。

 ちなみに「超高速」の定義だが、「スクラッチよりも、3~10倍のスピードで開発できること」という基準があるとのこと。現状は、具体的な開発手法などを特に設定しているわけではないという。

 この日配られた資料では、すでに多くの導入実績を持つシステム間連携ソフトウェアや、多言語対応のウェブアプリケーションを100%自動生成するものなど、発起人となった日本企業による質の高いソフトウェアが多く紹介された。

 同コミュニティは今後、13社にとどまらずソフトウェア企業を迎え入れていくとする。設立の意義を具体化する施策として、各開発ツールの相関関係を明示することや、さらに発展させていくなら、開発ツール間のインターフェースの充実、データ連携機能の実装など、いかに具体的に「超高速ツール」の完成度を高め、ユーザー企業にとっての価値を生み出していくかを視野に入れる必要が出てくる。

 今回のコミュニティが、ユーザー企業のスピード経営の実現などを競合関係を超えて進めていくという設立当初の意義を忘れずに活動していくならば、日本の企業向けソフトウェアの質を高め、企業の生産性向上やイノベーション実現の推進力になっていくと考えられる。

 設立メンバーは以下の通り。アイエルアイ総合研究所、アトリス、インフォテリア、ウイング、オープンストリーム、キヤノンソフトウェア、ケン・システムコンサルティング、サピエンス・ジャパン、ジャスミンソフト、BlueMeme、フロンテス、マジックソフトウェア・ジャパン、ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所。

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