閉鎖的な流通の仕組みや国を守るための厳しい規制、消費者の嗜好性などいろいろな理由があります。
しかし、デジタル化の潮流の中では当然、世界は国ごとに守られるようなことはありません。マーケティングでは、国の隔たりがなくなってきます。そうすると企業は当然、日本という守られた市場にも商品をアピールしやすくなってきますし、国内市場で大きなシェアを占める日本の消費財メーカーにとっては脅威となるでしょう。
一方でこうした状況は日本のメーカーにとっては国外の市場で成功するためのチャンスでもあります。苦境に立たされる部分とチャンスでもあるという両面があるのです。日本の企業がグローバル企業に負けない強い経営体質を作り上げるチャンスですが、そのためには変革に対する強い決意というのが必要です。
――日本の消費財メーカーは技術力もシステムの能力もあると思うが、要するに経営の仕組みを変えれば、もっと大きくなるということなのか。
おそらく日本には、今までどうしても迫られてやらなければならないという切迫感がなかったのだと思います。欧州の場合は、国が細分化されるということがあり、どうしても地域に対応したサプライチェーンモデルを進めていかなければならないという実状がありました。北米の場合も株主に企業成長を迫られ、なんとか成長させるという経営モデルに転換していく必要がありました。
これまで、日本にはそういった変革を求められるような喫緊の課題がなく、しかも市場は比較的守られてきました。そういう意味では流通チャネルの仕組みにも理由があったのかもしれません。そして何よりも、これまでは日本経済は相対的に健全でした。しかし、今やグローバルなハイパフォーマンス企業との競争にさらされており、デジタル化が進むことで大きな変革を迫られています。
そして高齢化などの人口構造の変化により国内のマーケットが縮小しつつある中、スピード感を持って変革を実行することが求められています。もはや選択の余地はありません。Accentureは、このような変革の波がここ数年で日本の消費財メーカーにも起こり、飛躍するチャンスとなることを期待しています。また、多くの日本の消費財企業がデジタル化する市場の中で成長し、高いパフォーマンスを発揮し続けられるように支援し、こうした企業のパートナーとしてともに変革を実現していきたいと考えています。
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