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汎用製品への特化こそ競争力を高める--インフォテリア平野社長 - (page 2)

大川淳 山田竜司 (編集部)

2013-08-29 19:02

--汎用製品を重点化する策に圧力はないのか?

 製品を開発している間は利益は出ないのですから、その時期にはなぜそんなところに投資するのかとの声が上がります。しかし、時系列でみれば、どの製品も同じような道をたどっていますし、ASTERIAもそうでした。ノンコーディングのASTERIAができたのは2002年の6月ですが、当社設立時の1998年から4年間は、ASTERIAも絵に描いただけ。XMLのツールを売っていました。当時(ファンドなどから)27億円の出資を集め、20億円くらいはASTERIAの開発費に注ぎ込みました。XMLのツールは、当社の技術力を証明するもので、投資を集めるのに役立ったと思います。

 新しい製品の開発中は、利益が出ないのですから、1円も稼いでいないものになぜ投資するのかと批判されます。実際製品を売り出すと(より大きなリソースを使うため)理解を得るのがさらに難しくなります。汎用製品を作ろうとすると、このような段階がどうしても必要になります。経営者として、それを説明する責任がありますが説得するのは結構チャレンジングです。

スマートデバイス台頭を先取りしたHandbook

--モバイル端末向けコンテンツ配信サービス「Handbook」が、ASTERIAに次ぐ柱となってきている。

 Handbookは、(事業として)比較的早期に立ち上がってきたように思われますが、実際には、(事業化まで)4年経過しています。4年前には、まだiPadはありませんでした。その頃は、Handbookの需要といえば、学校関連だけで、利用される機器はiPhoneのみでした。われわれは、iPhoneは仕事に活用できるものだと考えていたのですが、株主からは「そんなものは、お前たちの趣味だ。何を遊んでいるんだ!」と、叱られました。Handbookを世に出したのが2009年。iPadが2010年に出て、われわれの考えはようやく理解されるようになり、それが反映されるように株価も上昇しました。以前叱責された株主に「インフォテリアは先見の明があると思っていた」と言われました(笑)。

 Handbookは、SaaS形式で提供しており、利用料金は月額2万円からです。一方、ASTERIAは標準価格480万円です。売り上げからすれば、ASTERIAとは格段の差がありますから、株主からみれば、売上高が小さいうちは、まだ立ち上がっていないということになります。ただ、導入企業の獲得数でいえば、Handbookは早期に多数の支持を得て、事例数も豊富になり、認知されていったのです。

--Handbookは、どのようなことがきっかけで生まれたのか?

 当社の基本となる発想は“つなぐ”です。歩いている人、動いているもの、あるいは、会社と会社を“つなぐ”。ASTERIAの場合、サーバで動く製品なので、“つなぐ”ことができるのは、システムや企業の相互間、クラウドまでです。持ち歩けるものを“つなぐ”ことができないか。モバイル向けの基盤として、iモードのアプリケーションは、選択肢の一つでした。そこで、私と北原は考えました。5年後くらいに、携帯電話はどのような進化を遂げるのか。

 1つは、携帯電話という形式を踏襲して発展する。もう一つは、パソコンやサーバのレベルの技術が小さくなって、ポケットの中に入る大きさになる。1カ月くらい議論をして、われわれが、未来像として選んだのは後者でした。理由は2つあります。ハードウェアの進展を考えると、小さなものが大きくなるのは、なかなか難しいのです。制限がある中で、いかに効率よく動くかというのが、エンベディッド(組み込み)技術の神髄です。そうではなくて、大きなものが小さくなるのは、ハードウェアの進化だけで実現できます。

 他の理由として、ASTERIA、XMLなど自分たちの基盤となる技術があったことがあります。制限された中で展開していくより、得意な技術をもって打って出ていく方が、われわれの強みを活かせると考えたのです。当時はiPhoneはなかったのですが、やがて、スマートフォンのようなものが主流になる時代が来るとみて、研究を始めました。その頃は研究対象というと、BlackBerryくらいしかありませんでした。2007年にiPhoneが発売され、米国で2種類のアプリケーションを投入するなどしたノウハウがHandbookにつながりました。

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