S・イーロップでは「MicrosoftのCEOには力不足」という指摘
前の記事で「Stephen Elopが後継CEOの最有力候補に浮上」と書いた。事実そういう趣旨(と見出し)のついた記事や動画が出ていた。だが、この見方に異を唱える見解もさっそく散見される。例えば、Tech Republic編集長のJason Hinerは「Elopが次のCEOになると聞いたら、ウォールストリート(投資家筋)はイヤな顔をするだろう」などと書いている。
・The case against Stephen Elop as Microsoft CEO - ZDNet
この否定的な見方の前提にあるのは、そもそもWindows Phoneに賭けることにしたElopの判断が間違いだった、というもの。同様の指摘は前述のstratecheryの記事にもみられ、「NokiaはOS以外の部分――製品設計や流通、サプライチェーンなど――で他の端末メーカーと差別化できた。だからAndroidを選ぶほうがよかった。しかし、Elopはそこを読み間違った」などと書かれている。
・The Deal That Makes No Sense - Stratechery
またこの判断の誤りから、ElopのCEO在任中にNokiaのスマートフォンシェアが大幅低下(37%から5%以下へ)、株価も10ドルから一時は1.63ドルまで85%も値下がりしたこの事実が、Nokiaよりもさらに規模が大きく組織も複雑なMicrosoftのリーダー選びで見逃されるはずはない、などとHinerは書いている。
さらに、Microsoftには年間売り上げが10億ドルを超える事業が16あるが、その半数以上が法人向け、というのもElopにとって不利になる、とHinerは指摘。Elopについてはよく「Microsoftの元Office責任者」という形容句が付されているので、てっきりエンタープライズ畑の人物かと思っていたが、Elopは基本的に「エンドユーザー向けのアプリケーション分野」が長く、それではMicrosoftの将来を左右するクラウドのようなインフラ分野の事業経営は荷が重かろう、とHinerは述べている。
同時に、買収完了後にElopがMicrosoftに復帰し、新たなデバイス部門の責任者になることが発表されているから、同氏をCEOに据えてコンシューマー向けのデバイス事業(スマートフォン、タブレット、Xboxを含む)を分社化する手は考えられる、などとも記している。
いっぽう、GigaOMのOm Malikも前述の記事のなかで、「Elopの実績を考えると、自分がもしMicrosoftの株主だったとしたら、同社の将来を彼の手に託すというのはかなりの覚悟がいる選択」などと記している(ElopのNokiaでの成績はよく見積もって「Bマイナス」というのがMalikの評価)。
なお、AppleやPalmでの勤務経験もあるというMichael Maceなる人物が書いた下記のブログ記事(全体的に、MicrosoftのNokia買収に懐疑的)には、「Microsoftの次のCEOはスーパーマンでないと務まらない」などと書かれている。
・Microsoft + Nokia: Now We’re All Like Apple - Mobile Opportunity
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