アビーム、BIサービス事業強化--データサイエンティストを250人に

三浦優子

2013-09-18 18:48

 アビームコンサルティングは、ビッグデータ活用を支援するコンサルティング事業「ABeam ビジネスインテリジェンス(BI)サービス」を強化。2012年度50億円だったBIビジネスの売り上げを2年後に100億円とすることを目指す。

 これまで扱ってきたBIツールに加え、フランスのHyperCube Researchが提供するクラウド型BIツール「HyperCube」の取り扱いを開始し、オンプレミスからクラウドまでトータルでBI関連コンサルティングを提供する体制を整えた。BIビジネスに欠かせないデータサイエンティストも、日本で200人、海外で50人の体制を確立する。


アビームコンサルティング 執行役員 プリンシパル プロセス&テクノロジー第4事業部長兼ビジネスインテリジェンス統括事業部長 中本雅也氏

HyperCube Research CEO Augustin Huret氏

一括で多次元で解析できる仏製ツール

 アビームコンサルティングは、2年前にBI事業のコンサルティングを強化するABeam BIサービスを発表。その時点で2013年3月期に売上高50億円を目標としていたが、「発表当初はアグレッシブな目標であったが、見事に達成することができた。現在でも多数の引き合いをもらっている状況で、今後2年で現状の倍となる100億円の売り上げを目指す。そのためにデータサイエンティストを日本に200人、海外50人の体制にしていく」(アビームコンサルティング 執行役員 プリンシパル プロセス&テクノロジー第4事業部長兼ビジネスインテリジェンス統括事業部長 中本雅也氏)と2年で売り上げ、人員ともに倍増を目標とする。

 すでに8月から、本社が丸の内永楽ビルに移転したことを契機に、データ活用の拠点となる「ABeam BI ソリューションセンター」を設けた。BIシステム関連の開発、分散並列処理プログラミングフレームワーク「Apache Hadoop」、インメモリデータベース、リアルタイムエンジン、ログデータの収集、テキストマイニング、クローラなどの技術を検証する。

 ビッグデータ関連ビジネスは各社が展開しているが、「当社はコンサルティングファームとして、BIを企業経営の強力な参謀役とするべく企業経営にプラスとなるコンサルティングを提供する」ことを特色としてビジネスを展開する。

 これまでにもBIで活用できるツールとして、9月11日に協業を発表したSAS Institute Japanをはじめ、SAPやOracle、Microsoftなどの製品をオンプレミスで、クラウドではSAPやAmazon Web Services、Microsoftのサービスを提供してきた。

 今回新たに、フランスのHyperCube Researchの分析ツールであるHyperCubeのアジア初のライセンス試用契約を締結した。HyperCubeは、フランスの原子力廃棄物の放射能漏出パターンを分析する目的で開発された一括で多次元解析可能な多次元分析(OLAP)ツールという。

 従来型の解析ツールはデータ項目を縦軸、横軸に選定して、絞り込みし、解析を担当するユーザーの仮説に基づいて分析作業を繰り返して答えにたどり着く。

 それに対しHyperCubeは、単一手法で一度に多数の知見を導き出し、多様なデータ項目を一括で投入、解析できるという。恣意性なしに、複雑な事象をシンプルに、素早く解明するのがメリットとしている。

 「フランスでは完全にクラウドサービスとして、顧客が自由にデータを分析する活用形態だが、日本では当面、顧客のデータを当社が預かり、解析してその結果を顧客に返す、オフプレミス型サービスとする」(中本氏)

 HyperCube Researchの最高経営責任者(CEO)であるAugustin Huret氏は「企業は膨大なデータを所有し、どう活用するのかという課題を抱えている。われわれのツールは従来はできなかった解析を行う。これは応用数学学部の研究成果に基づいて開発されたもので、数理アルゴリズムに基づいた解析結果を導き出す」と自社ツールの特長を説明する、

 フランスでは300件を超す利用実績がある。主な利用分野としては、(1)クライアントの行動調査、マーケティング、物流の最適化、(2)クレジットカードのリスク管理として早期の不正検出、(3)製造業でサプライチェーン管理を最適化し、生産頻度の最適化、(4)研究開発部門で臨床試験の際に適切な結果を出す母集団の策定やアルツハイマー病の早期診断を可能にするのはどの領域なのかを調査――などがあると説明している。

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