富士通エフサスは、2015年度までの3カ年で「トータルサービスのリーディングカンパニーにChangeすること」を掲げている。
それは、同社がこれまで取り組んできたITインフラサービスのリーディングカンパニーから、非ICT領域を含んだ領域へと業容を拡大するための新たな取り組みを指す。
富士通エフサスは、どこに向かおうとしているのか。富士通エフサス代表取締役社長の今井幸隆氏に話を聞いた。
所有から利用へ、ハードウェアの低価格化
――富士通エフサスは「トータルサービスのリーディングカンパニーにChangeすること」を掲げていますが、この狙いは何ですか。そしてトータルサービスとは何を指すのでしょうか。
富士通エフサスは、富士通グループでのITインフラサービスの中核企業として、サービスアカウントエンジニア体制と、サービス基盤をベースに顧客のITインフラの設計や構築、運用業務などのニーズに応えてきました。
大きくは、「インフラインテグレーションサービス」「運用サービス」「メンテナンスサービス」という3つの事業で構成し、全体の約45%を占めるメンテナンスサービスでは、全国約160拠点、約5500人のSAE(サービスアカウントエンジニア)が、メインフレームからサーバ、ストレージ、パソコン、ネットワーク機器、金融端末に至るまでのマルチベンダー環境に対応し、さらにハードウェアのみならず、ソフトウェアを含めて24時間365日でのサポート体制を構築しています。
富士通エフサス 代表取締役社長 今井幸隆氏
周知のようにICTは企業経営にとっての重要性がますます高まっています。しかし、それにあわせて、当社のビジネスも従来のITインフラサービスのリーディングカンパニーという位置付けだけでは、すべてのニーズに応えることができなくなってきたのも事実です。
グローバル化をはじめとした社会構造の変化、クラウドの活用などによるスピードの重要度が高まり、既存の枠組みを超えた新たなサービスの創出が求められているからです。ビジネス効率化のツールとしてのICTではなく、企業における事業強化、新たな価値創造に活用されるICTとしての役割に対して、富士通エフサスがトータルでどう応えることができるのかがこれからの課題です。
つまり、ICTインフラの安定運用にとどまらず、業務運用やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)といったICT領域以外へと拡大したトータルサービスを提供する必要があるといえます。
これは言い換えれば、富士通エフサスが置かれた立場が大きく変化しているということにもつながります。クラウドコンピューティングの広がりによって、自社所有のサーバからデータセンターへ移行する“所有から利用へ”といった動きが広がっています。また、ICT機器がコモディティ化することで低価格化が促進しています。
こうした市場変化は、メンテナンス機会の減少やメンテナンス料金の低減といった動きにつながります。富士通エフサスはそこにとどまるのではなく、ITインフラサービスに加えて、お客様のワークプレイス全般を視野に入れたトータルサービスへの転換が必要だと考えています。
その新たに取り組みのひとつとなるのが、8月からスタートした「FUJITSU Infrastructure System Integrationオフィスまるごとイノベーション」となります。
オフィスの移転や刷新をまるごと
――オフィスまるごとイノベーションはどんなサービスですか。
一言で言えば、オフィスを移転したり、リニューアルしたりした際に、富士通エフサスが“まるごと”お引き受けしますという提案です。これまでの富士通エフサスの事業領域では、「ICTの効果的な利活用」といった提案は行ってきました。今回の新サービスでは、「快適なオフィス空間デザイン」という提案を融合し、これによって、新たなワークスタイルを提案することになります。