パブリッククラウドを選ぶ理由 - (page 2)

Kris Bliesner (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2013-11-13 07:30

 3. クラウドを利用した環境では、セキュリティが主な懸念事項になる。ウェブとクラウドのセキュリティ事情は変化が激しい。パブリッククラウドのインフラはプライベートクラウドよりも脆弱だと考える人もいるが、これは誤解だ。確かに、プライベートクラウドにすれば、IT部門はその範囲をコントロールすることができる。しかしこれは、IT部門が急速に変化するセキュリティの状況に常に追いつき、必要な修正やアップデート、アップグレードを施す必要があることを意味する。パブリッククラウドは、こうしたことをすべて処理してくれる。パブリッククラウドプロバイダが利用するような大規模なデータセンターの安全性は極めて高く、データはソフトウェアと物理的なレベルの両方で、管理されたセキュリティによって保護される。例えば、米国政府の半分以上が、パブリッククラウドに移行している。また、驚くことに、銀行業界の活動の64%がパブリッククラウドを利用しており、これはソーシャルメディア、オンラインゲーム、写真アプリケーション、ファイル共有などよりも多い(NSK Inc.の資料「IT Consultants? Insight on Business Technology」の、「7 Statistics You Didn't Know About Cloud Computing」を参照)。

 4. 冗長性と災害復旧の必要性。プライベートクラウドに本格的な冗長性を持たせるためには、インフラ全体の仮想ミラーを複数のホスティングプロバイダに分散させる必要があり、そのようなプロバイダは、それ自体がパブリッククラウドである可能性が高い。インフラを完全にプライベートにするためには、組織が自前のデータセンターを運用する必要があるが、これはあまりにも経費がかかる。上手に設計された、クラウドを利用した環境を構築するよりもよい選択肢は存在しない。例えばAWSは、あまり知られていない機能を利用すると、非常に冗長性の高いクラウドになる。インフラのバックアップを同じリージョン(例:米国北西部)だけではなく、2つめの離れたリージョン(例:太平洋岸北西部)のデータセンターにも置けば、地理的な冗長性を得ることができる。多くのAWSの顧客は、こういったことを考慮することなく、同じ地域の複数のゾーンで十分だと感じているようだ。それも構わないのだが、もし地理的に離れた2つの場所にデータと仮想環境を置いておけば、一方に何か起こったとしても、もう一方は無事である可能性が高い。AWSはこういった配置方法について細かく設定することができるため、世界的な冗長性を確保することができ、異なる大陸プレートにあるデータセンターを選ぶことさえできる。もちろん、同じことはプライベートクラウドでも可能だが、その費用は莫大なものになる。

 5. 最終的には費用の問題。この種の判断においては、予算は当然重要な要素であり、判断に影響を与える要素の中でも特に考慮が必要なものだ。すでに大規模なインフラを整備している企業は、プライベートクラウドを構築するほうが安い場合もあるかもしれない。これは、プライベートクラウドを構築するのに必要なハードウェアだけでなく、OSや管理ツールもすでに所有している場合が多いからだ。しかし裏を返せば、そのハードウェアインフラと、その上で必要とされるソフトウェア(特にOS)は、3年から5年で継続して更新していく必要がある。

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