なお、Bloomberg記事にはBingとXboxの切り離しの可能性に言及した一節のすぐ後に、Rick Sherlundという野村證券米法人のアナリストがその週の初めに「Microsoftで新しいCEOが決まり、そしてBingとXboxの切り離しが実現するようだと、2015年度(2014年7月始まり)には1株利益(現在は2ドル70セント)が3ドル80セントまで増加する可能性がある」として目標株価を引き上げ、この動きを受けて株価(MSFT)が上昇するとの出来事があった。
このSherlundというのは、Ballmerの退任発表の話で触れた例のアナリスト――7月にあった組織再編の内容を「不十分」などとした上で「投資ファンドのValue ActがMicrosoftに対して圧力をかけるために取締役会議席要求の動きにでる可能性がさらに高まった」と書いていた人物である。
さらに、この前には「CEO候補がどうやら5人に絞り込まれたようだ」とする話がReutersで報じられていた(米国時間5日付)。5人というのは、現在Ford Motorの共同CEOであるAlan Mulally、Stephen Elop、Tony Bates(現Microsoft、元SkypeのCEO)、Satya Nadella(Microsoftのクラウド&エンタープライズ事業責任者)、それにあと1人(Reutersではなぜだか具体名を記していないが、後述のAllThingsDに出ていたKara Swisherの記事には、Qi Lu――Microsoftのアプリケーション&サービス事業責任者:Office/Office 365、Bing、Skype, MSNなどネット関連事業担当の名前が出ている)。
・Exclusive: Microsoft narrows CEO shortlist; Mulally, Elop make the cut - Reuters
興味を引くのは、Sherlundが投資家向けのレポートの中で、前述の業績・株価上昇の見通しに加えて、(1)SherlundはFordのAlan Mulallyが次期CEOに選ばれると見込んでいる、(2)BallmerがCEOを辞めた後、保有するMSFT株式(約120億ドル相当)をすべて処分し、Microsoftがこれを引き取ると記している――という点だ。
・At long last, some analyst love for Microsoft - GigaOM
ただし、後者の「株式処分」の可能性については「そんなことは断じてあり得ない」と、AllThingsDのKara Swisherに速攻で否定されていた。なお、BallmerはBill Gatesに次ぐ個人大株主で、それぞれの保有率はGatesが約4.5%、Ballmerが4%だという。
・Mr. Ballmer Will Not Be Selling His Microsoft Shares No Matter How Much Mr. Sherlund Wants Him To - AllThingsD
次期CEOにとって、Ballmerとともに「厄介な小姑」にもなりかねないBill Gatesについては、依然としてポリオ撲滅など財団の仕事に専心している(ただし、Microsoftに顔を出す機会もやはり増えているらしい)が、10月の初めには「一部の投資家がGatesに対し、Microsoft会長職の辞任を求める動きを見せようとしている」との話がやはりReutersで報じられていた(こちらも匿名の情報源からの話)。
・Exclusive: Time for Gates to go, some top Microsoft investors tell board
「大口株主20社(人)の中の3者がMicrosoftの取締役会に対して、Gatesに退任を促すよう働きかけている」というこの話の中には、3者の動機について「Gatesが会長として取締役会にいると、次期CEOが大規模な戦略転換を望んでも邪魔される可能性がある」ことなどが挙げられている。
また、周知の通りGatesは次期CEOを決める特別委員会の会長なので、大胆な事業の見直しを狙うような人物はそもそもCEOに選ばない、というのは十分考えられそうだ。