さて。Alan Mulallyの名前がCEO候補として残り続けている最大の理由は、Fordの経営再建(2006年にCEO就任)という実績で、特に2008年の金融危機をきっかけとした不興の際にGeneral Motors(GM)とChryslerが米政府の支援を仰ぐ中、Fordだけは独立を保てたのもMulallyの経営手腕によるもの、などといった記述をよく目にする。
また、もともとシアトル暮らしが長く(Fordに引き抜かれる前は、Boeingで民間機部門のトップまで務めた)GatesやBallmerとも以前から知己である点、それに「部外者」だからこその利点――しがらみにそれほど囚われずに組織変革に大なたを振える、新鮮な視点を持ち込めることなどがあり、中には90年代にIBMを蘇らせたLouis Gerstnerと比較してそのCEO起用の是非を論じているコラムなども見かける。
・Why Alan Mulally Would Be A Terrible Choice As The Next Microsoft CEO - Forbes
一方で、Mulallyが比較的高齢(1945年生まれ)であることや、テクノロジ業界やソフトウェア業界での経験がない点などがマイナス点として挙げられることが少なくない。
[D8に登場していたMulally - AllThingsD]
なお、「ElopがBingやXboxの切り離しを検討」というBloombergの記事に対しては、例えばJohn Gruber(daringfireball)からは「そういう動きがMicrosoftにとっていいことかどうかというのは興味深いとは思わない。それよりも、Bloombergがどうやってこの話を入手したのか、という方が興味深い。可能性として考えられるのは、 (a) Elop側からの意図的なリーク、 (b) Elopの腹心3人による、Elopへの裏切り行為、の2つで、自分は(a)の方が真相だと思う(ただし、Elopが「リークした理由はよくわからない」とコメントが出ている)。
・Intriguing Bloomberg Report on Stephen Elop and Microsoft - Daring Fireball
また、MG Siegler(Parislemon、TechCrunch)も「話の中身自体よりも、これが表面化するに至ったその背景の方が面白い。CEOの座を狙うElopが、自分の温める大胆な戦略転換の案について、社内外の反応を見ようとしたのか? Microsoftの刷新を求めるヘッジファンドにElopがアピールしようとしたのか? あるいは、ElopのCEO就任を阻止しようとして何者かが魚雷を撃ち込んだのか?」などと書いている。
・Elop Said To Want To Blow Up Microsoft If Made CEO - Parislemon
早ければ年内にも決定しそう(ATDのSwisherいわく)というMicrosoftの次期CEO選び。本決まりになるまでにまだいろいろな話が飛び出してきそうな雲行き、と言えるかもしれない。
文中敬称略
Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebook、Twitter、RSS、メールマガジンでも情報を配信しています。