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米国のAnchorFreeは、コンシューマー向けVPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)サービス「Hotspot Shield」の開発、販売を手掛ける。これまでに全世界でダウンロード1億7500万件以上という人気ツールで、10月17日には日本語版が「Wi-Fi セキュリティ powered by Hotspot Shield」としてソースネクストから発売されている。来日した同社最高経営責任者(CEO)のDavid Gorodyansky氏に話を聞いた。
VPNを個人ユーザーが手軽に使えるようにしたサービス

米国AnchorFree CEO David Gorodyansky氏
Hotspot Shieldは、専用のソフトウェアを端末にインストールして利用するサービスだ。AnchorFreeが運用するサーバと端末との間はVPN接続で結ばれ、流れるデータを自動的に暗号化、ユーザーのIPアドレスなども匿名化されるようになる。
例えば、公衆無線LANのアクセスポイントはセキュリティが万全とは限らず、時に第三者による通信内容の盗聴などのリスクがあるが、暗号化することで安全性を高められる。またIPアドレスを匿名化することにより、掲示板やSNSサービスなどでユーザーの位置情報を特定されにくくする効果もある(もちろん、投稿した写真、あるいは書き込んだ単語や文章などから個人情報を類推される可能性は残る)。
このようなネットワーク経路に関するセキュリティは、ウイルス対策ソフトなど既存の商品があまりカバーしていなかった分野だ。VPNはエンタープライズでなら既に広く用いられている技術だが、個人レベルで使うには少々ハードルの高いものだった。また一方で、インターネットの接続に自宅の固定回線を使うのみのユーザーにとっても、あまり大きなメリットはなかった。LAN内にマルウェアが仕込まれているなどしなければ盗聴のリスクは低く、また多くの場合、固定回線のIPアドレス情報からは大まかな地域くらいまでしか把握できないからである。
しかし近年、モバイル端末が普及し、多くの人たちが公衆無線LANサービスを利用するようになってくると、事情が変わってきた。セキュリティの甘いアクセスポイントで通信内容を盗聴されたり、場合によっては最初から盗聴を目的としてアクセスポイントを仕掛けるような手口も報告されている。
また、周囲にある無線LANアクセスポイント名から端末の位置を割り出す技術が登場し、ユーザーにとっては現在位置を把握しやすくなった反面、SNSなどさまざまなサービスが、ほとんどユーザーに意識されないまま、端末位置情報を利用するようになってきた。利用したサービスを通じて位置情報が別のユーザーに把握されれば、当然ながら事件などに巻き込まれる危険も高まる。
こうした状況に対し、個人ユーザーにもVPNを手軽に利用できるようにしたのがHotspot Shieldだ。ほとんどユーザーが手を触れることなく、VPNによるセキュリティやプライバシー保護を得ることが可能で、「VPNとは何かを意識せず使っているユーザーも多い」と、Gorodyansky氏は説明する。