『The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon』という書き下ろしの書籍を10月半ばにリリースして話題を呼んでいたBusinessweekのBrad Stoneは、おそらく現時点でAmazonのことを最もよく知るジャーナリストの1人だろうが、今回のPrime Air披露については「Amazonによる社内、社外に向けたPR施策」と分析している。
・Amazon's Drone Fleet Delivers What Bezos Wants: An Image of Ingenuity - Businessweek
「無人機配送が現実的かどうか」といった議論はすべて的外れで、Prime Airサービスの開発と(時期尚早と思える)公表の主な目的は「(技術革新を生み出し続けようとする)Amazonの不屈の精神」("Amazon’s indomitable spirit of innovation")を思い出させようとするもの、というのがStoneの見方。その根拠としてStoneは、Jeff Bezosが2010年に上級幹部向けに書いた「Amazon.Love」と題するメモの存在を挙げている。
Stoneによると、Bezosはこのメモのなかで現在Amazonが直面しているいくつかの問題をすでに指摘していたという。具体的には、外部から「怖れられ、ときには憎悪される」存在との認知が拡がることで、「Amazonのおかげで規模の小さな競合他社が窮地に追い込まれるのを目にして、特に小売業者が不安を覚えることが往々にしてある」「自社のローコストオペレーションを推し進めていくと、それが一部の人々の目には『従業員の搾取』と映り始める」などと記されているという。
さらに、成功した大企業につきもののこうしたイメージ問題を解決するには「リスクをとる姿勢」「新しいものを作り出す(発明する)姿勢」を示すのが一番だとBezosは記していたという(このメモについては、前述の書籍のなかにでも触れられているそうだ)。
なお、Businessweekを保有するBloombergでは、「Amazonが配送費だけで年間33億ドルも使っている」といった説明のビデオも公開されている。
[Amazon by the Numbers: $3.3B in Shipping Losses]
そのほか、The Vergeでは「Bill Gatesが、Prime Airの構想実現を支持した」という(CNNインタビューの)話も伝えている。自分が最も関心をもつ医療、健康分野での活用の方が、単なる商品配送よりも社会的インパクトが大きそう、という考えらしい。
・Bill Gates supports Amazon drone delivery, but says Jeff Bezos may be 'overly optimistic' - The Verge