セキュリティよりも価格が重要--IIJやB-EN-Gなど、SaaS型ERPを刷新

山田竜司 (編集部)

2013-12-12 19:00

 インターネットイニシアティブ(IIJ)とIIJグローバルソリューションズ、東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の3社は、統合基幹業務システム(ERP)をSaaS型で利用できる「A.S.I.A. GP SaaS on IIJ GIO」を12月5日から提供している。これま でIIJグローバルが提供していたSaaS型ERP「G-BASS ERP Lite」を刷新した。

 

A.S.I.A. GP SaaS on IIJ GIO
 

 A.S.I.A. GP SaaS on IIJ GIOは、IaaS/PaaS「IIJ GIO」にB-EN-GのERPパッケージ「A.S.I.A.」を載せた。今回のサービスでは、販売管理や在庫管理、マスター管理といったERPの機能と債権管理などの会計機能も利用できる。日英中タイなどの多言語 や多通貨に対応するとともに、複数の会計基準にも対応する。

 IIJグループと同社のパートナー企業が日本国内と海外拠点で販売し、B-EN-Gと同社のパートナー企業が海外現地法人向けに販売する。各社は設計から導入、保守運用までをワンストップでユーザー企業に提供する。初期費用は個別見積もり。税別の月額費用は1~5ユーザーで、1ユーザーあたりのERP機能が3万6000円、会計機能が3万円となっている。

 日本企業の海外進出が増加するとともに、海外現地法人向けの基幹系システム構築のニーズもあわせて増加している。こうした状況下で、本社による経営情報の一元管理や海外拠点のITガバナンス確立などが課題になっていると指摘されている。こうした課題の解決策として注目されているのがSaaS型ERPだ。新規事業の設立や事業規模の拡大、海外企業の買収、海外からの撤退など迅速に対応できるからだ。


B-EN-G マーケティングアライアンス部 山下武志氏

IIJ プロフェッショナルサービス部 小川晋平氏

 B-EN-G マーケティングアライアンス部の山下武志氏は「もともとIIJ GIOのセキュリティレベルは高い」と明言。ユーザー企業からは「海外現地法人を対象としたサービスであるため、基幹系であっても日本本社同様のセキュリティが求められることは少ない」(山下氏)という。

 その上で山下氏は、セキュリティよりも価格面での問い合わせが多いことを明かし、「海外の現地法人ごとにシステムを構築するというリスクに比べ、SaaSの方が格段に利用しやすいという人がが多い」と紹介した。

 IIJのプロフェッショナルサービス部の小川晋平氏は、アジア地区の実情として、停電が頻発していることやマシンルームが未整備であることなどに言及。セキュリティを含めたシステム管理が難しいとし、オンプレミスよりもSaaSの方が求められていると指摘した。

 山下氏は、他社のSaaS型ERPと比較して、今回のサービスについて日本法人と現地法人が足並みを揃えたプロジェクトを展開できることをメリットとして挙げた。山下氏は「外資系企業にとって日本支社はブランチオフィスの1つにすぎず、ほかのアジア地域のオフィスと連携したプロジェクトはいわば“縄張り争い”になってしまうこともある」と解説。保守や運用についても日本人的なきめ細かい対応を求められるケースが多く、対応できる企業が少ないと強調した。

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