パラレルワールドの中には、1月初旬に開催されたCESが「Windows RT」デバイスがあふれかえっていたという世界もあるだろう(そしてその世界では、おそらくMicrosoftの新たな最高経営責任者《CEO》の基調講演が呼び物になっていたはずだ)。
しかし、少なくともMicrosoftにとっては残念なことに、この世界のCESでは「Android」デスクトップが勢いを増していた。Androidは、デスクトップ分野におけるWindowsの覇権を脅かす、初めての本物の敵になりつつある。
PCの販売台数は、タブレットやスマートフォンの台頭によってこの数年減少し続けており、それらのデバイスの多くはAndroidを搭載している。
2015年には(あるいは今年になるかもしれないが)、PCよりも多くのタブレットが出荷される見込みであり(Gartnerの予測によれば、タブレットの3億2500万台に対し、PCは2億6800万台)、スマートフォンは引き続きそれを大きく引き離し、2014年には20億台近くが出荷される見込みだ。そして、それらのデバイスのうち11億台がAndroidデバイスとなるのに対し、Windowsデバイスは3億6000万台にすぎないとされている。
従って、必死に新たな収益源を見つけようとしているPCメーカーが(英紙The GuardianのCharles Arthur氏は、現在PCメーカーの収益にのしかかっている圧力について解説する、素晴らしい記事を書いている)、Androidを試してみるのは不思議でも何でもない。
Microsoftは、「Windows Phone」、「Surface」、そして間もなく買収が完了するNokiaのハードウェア部門があるため、PCメーカーにとっては今や同盟相手であると同時にライバルでもある。このことは間違いなく、PCメーカーが新たなOSを試してみる気になる要因の1つになっているはずだ。
米ZDNet編集長のLarry Dignanが指摘するように、コストが適正でセキュリティが向上すれば、Androidはモバイル分野と同じようにデスクトップ分野でも勝利できる可能性がある。Androidがデスクトップ分野でWindowsの本物の脅威になるには、まだ超えるべきハードルは多いが、それでもMicrosoftの頭痛の種であることは間違いない。Windowsを買わない人は、おそらくOfficeも買わないだろうし、Windows PhoneからAzureに至るエコシステムを購入する可能性はさらに低い。
デスクトップはWindowsの牙城だ。Androidがそれに対抗しようとするのは、テクノロジのエコシステムにおける戦いがその段階まできているということの反映でもある。