久しぶりにTelsa Motors(Tesla)についての話をひとつ。
「テスラとパナソニックが車用リチウムイオン電池工場の新設で協議」といった見出しの記事が2月26日にいくつかの媒体に出ていた。
パナソニックが米電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズと共同で、米国にEV向けのリチウムイオン電池工場を建設することで最終調整に入ったことが26日、分かった。2017年の稼働を目指す。総投資額は1000億円を超えるとみられる。パナソニックは(略)国内の複数の部材メーカーにも参加を呼びかけており、基幹部品であるセルの生産から組み立てまでを一貫して手掛ける計画。生産する電池はテスラが自社のEVに搭載するほか、トヨタ自動車など他社への供給も検討する。(「パナソニック:米にEV向け電池工場 テスラと最終調整」--毎日新聞)
ほかに「パナソニック、米テスラの電池工場への投資検討=関係筋」(ロイター)、「パナソニック、米テスラと車用電池の大型工場」(日経新聞)といったものもあった。
先週GigaOMに出ていた記事には、Teslaがパナソニックや(傘下の)三洋電機と共同で、米ニューメキシコ州に総費用20億ドル程度の「Gigafactory(ギガファクトリー)」の建設を計画中とするアナリストの話が紹介されていた。今回のパナソニックとの一件は、この動きを受けたものと思われる。
Elon Musk(Teslaの最高経営責任者=CEO)は先週、株主にあてた書簡(報告書)の中で、このギガファクトリー建設の考えを明らかにしていた(構想自体は2013年明らかにされていたらしい)。Technology Reviewでは、Teslaが目標とする「市販価格約3万5000ドルのEV実現の鍵を握るもの」とした上で、以下の記述の引用をしている。
ギガファクトリー(の実現)により、われわれが採用するバッテリパックのコストを大幅に削減し、バッテリ関連のイノベーションを加速することが可能になる。サプライヤー各社との提携を通じて、われわれは先進的な素材、セル、モジュール(バッテリパック)の生産を1カ所の製造拠点で行う計画。この工場が実現できれば、(ユーザーが)思わず欲しくなるような手頃な価格のEVをほぼ3年以内に作り出せる(その点について、かなりの自信を感じている)
[The Gigafactory] will allow us to achieve a major reduction in the cost of our battery packs and accelerate the pace of battery innovation. Working in partnership with our suppliers, we plan to integrate precursor material, cell, module and pack production into one facility. With this facility, we feel highly confident of being able to create a compelling and affordable electric car in approximately three years.
要は、現行車種「Model S」(市販価格7万ドル~)の半値以下となるような普及モデルを実現するために、いまだに全体の中で大きな部分を占めるバッテリのコストを引き下げる必要があり、そのためには量産を……ということだろうか。以前に紹介した「TelsaからSolarCityへの蓄電池提供」という話も、そう考えるとなんとなく辻褄が合う気がする。
両社の交渉がまとまれば、いずれギガファクトリーへの投資額や各社の負担も明らかになるだろう。ただ、Teslaの株価が年明けから順調に回復しており、直近では過去最高値を更新中、それに伴い時価総額も300億ドル台(パナソニックの約280億ドルを上回る)に達していることを考えると、場合によってはTesla単独でも(新株発行などで)資金を十分調達できそうにも思える。
テスラの株価推移