Googleは最近、貪欲に買収を続けており、その買い物リストの上位にはロボット関連企業が並んでいる。同社はこの数カ月で8社のロボット企業を買収したが、これほどまでロボット工学に関心を寄せる理由については、まだ明らかにしていない。
Googleが買収した企業のリストは、以下の通りだ。
- Schaft Inc.
- Industrial Perception, Inc
- Redwood Robotics
- Meka Robotics
- Holomini
- Bot & Dolly
- Boston Dynamics
- DeepMind Technologies
このリストには、スマートな人工知能(AI)や災害救助ロボット、そして時速30マイル(約48km)で走ることができる4本足のロボットまで含まれている。Googleはこの10年間、製品の幅を広げ続けてきたが、今度はこれら大量のロボットで何をしようというのだろうか。
Boston Dynamicsのロボット「LS3」。起伏のある地形にも対応する。
提供:Boston Dynamics
短い方の答えは簡単なものだ。ロボット工学では以前にも増してデータが重要になっており、センサやアルゴリズムに基づいて動作するものになっている。Googleの事業の中心がデータとアルゴリズムであることを考えると、ロボット工学に手を出すのは、Googleのようにイノベーションを重んじる企業としては、当然の一歩といえる。Forrester ResearchのシニアアナリストであるAnthony Mullen氏によれば、Googleはロボットを消費者に近づけようとしている。
「ロボットは、スマートフォン同様、製品やサービスのプラットフォームだ」とMullen氏は言う。「どちらも、運営するにはにデータとインテリジェンスが必要だが、Googleはデータとアルゴリズムを得意としている。Googleが消費者(または企業人)までの『最後の1マイル』で中抜きされるのを防ごうとすれば、ハードウェアによって、物理的な世界に関与する必要がある」(Mullen氏)
「『Android』OSとスマートフォンは、消費者のすぐ身近にあるデバイスであり、直接データを取り込み活用することができる。ロボット工学も同じ役割を果たす。物理世界からデータを拾い集め、クラウドの中のインテリジェンスを通じて活動を伝えることができ、最後の1マイルをコントロールし、影響を与える存在だ。これはGoogleにぴったりであり、Ray Kurzweil氏が同社に加わってAI部門の指揮を執り始めた後にこれが起こった。私は2013年にこれだけ急激に物事が動いたことには、驚いていない」(Mullen氏)
長い方の答えは、もう少し複雑だ。そして、消費者市場にロボットを受け入れる準備ができているかについては、疑問に思う人もいるだろう。コーネル大学の准教授であり、Creative Machines LabのディレクターであるHod Lipson氏は、「この20年間、われわれが目にしてきたロボットは、構造化された環境の中で使われていた」と述べている。Lipson氏が言う構造化された環境とは、工場や倉庫などの、人間と一緒に働き、作業する場所を指している。
一般的には、そういった「構造化」された環境で使われるロボットは、鍵のかかった扉の内側や、警備員に守られた場所で運用される。警備員は、人間をロボットから守るためではなく、環境の変化からロボットを守るためにいるのだ。環境の変化は、ロボットにとっては脅威になる。これは、ロボットは「適応」という生物学上の難問をこなす能力を持たないからだ。現時点では、臨機応変に動く能力や適応する能力をロボットに持たせるのは難しい。