--EMCが最近使用している資料では、EMCをベースに配置し、その上に、VMWareさらに最上位にPivotalを置いています。そして、RSAを横ぐしとしている。これはどうとらえればいいですか。
Webster氏:階層ごとに示しているのは、製品やテクノロジに対する当社の優先度を示したものではなく、IT産業に携わる方々の基本的な考え方です。基礎になるハードウェアの上に仮想化インフラがあり、その上にアプリケーションがある。
最上位に位置づけるPivotalは、今あるアプリケーションを、起動性があり、高いセキュアな環境を持つビッグデータ志向、ソーシャル志向の次世代アプリケーションに移行するものです。物理インフラ、仮想インフラ、アプリケーションレイヤのすべての領域をカバーしているのがRSAによるセキュリティです。
山野氏:EMC II(EMCインフォメーションインフラストラクチャ)は、Software-Defined Storageを担う領域であり、VMWareがSoftware-Defined Datacenterを担います。Pivotalは、Software-Defined Enterpriseを実現するビッグデータ、モバイル、ソーシャルのためのアプリケーションを提案します。
Webster氏:各階層が互いに連動することで全体が成り立ちます。EMCの大きな特徴は、顧客が求めるのであれば、これらの階層の製品やサービスを他社のものに柔軟に置き換えられる点です。EMCのストレージを導入している顧客が、仮想化の部分としてMicrosoftのHyper-VやOpenStackを使いたいと考えればそれを利用できる。
競合他社は、すべての階層を1社で提案し、顧客を囲い込もうとしている。EMCの最大の特徴は、柔軟性、俊敏性、選択肢を提案できる点です。製品の選択肢があることは顧客にとって大きなメリットです。今CIOが求めているものはまさに選択肢です。EMCは顧客に選択肢を提供し続けている限り成長できると考えています。
--これは、逆に他社が入り込む隙を作ることにはならないのですか。
Webster氏:その心配はしていません。長期的に考えると、ITは今後Software-Definedの世界に入ります。ストレージ市場のリーダーであるEMCは、Software-Definedの世界に顧客が入っていくことを支援する立場でなくてはなりません。
そのために、柔軟性と選択肢を提供しなくてはならない。複数のベンダーの製品を使っても、最上位のレイヤにおいて効率的な管理ができれば問題はない。この効率性によって浮いた資金があれば、それは実際のビジネスの方に投資をすればいいと考えています。誰にとってメリットがあるべきか。顧客にあるべきです。
--2013年が変化が始まった1年だとした場合、そのゴールの姿はどうなりますか。
Webster氏:今年度のEMCのテーマは、「新定義(Redefine)」です。顧客のITインフラが変革する上で、新たな定義をしていく会社であることを打ち出しました。日本をはじめとするさまざまな国の顧客がITコストを減らしながら、新たなITにどう取り組むかを考えています。
ここでいう将来のIT像とは、まず機動性を持ったものであり、顧客のデータをしっかりと守ることができるインフラであること、ビッグデータと分析能力を持っていること、ソーシャルメディアに対応したものです。
破壊的とも言える変革をもたらす現在のITのメリットを享受するために、企業はどう自分たちを変えるべきかを考えています。それに向けた製品群を今後も投入します。
山野氏:これまでのITは、第2のプラットフォームをベースとしたものであり、クライアント/サーバ環境やPCを中心とした活用、標準的なデータベースを活用した世界でした。もちろんこの世界はまだ残ります。しかし、第3のプラットフォームになるとクラウド環境が広がり、ほとんどのエンタープライズアプリケーションがモバイル端末で動作し、データベースもビッグデータを前提としたものへと変化してくる。
コミュニケーションもソーシャルメディアをベースとしたものになる。第3のプラットフォームによって、ITの世界が大きく変化してくるのは明らかです。そうした世界に向けた製品群がそろってきたのが2013年だったと言えるでしょう。
Webster氏:2014年は、EMCジャパンの日本進出20周年の節目です。EMCにとって、日本が重要な市場であることは、今後40年、80年、100年経っても変わらないでしょう。日本の顧客は進化を続けている。それに対して、EMCの製品、サービスは最適なものであると自負しています。