ですから、コミュニケーションを活発化させるには、技術よりも人が重要です。当社では、“カスタマーサクセスマネジャー(CSM)”をYammer社内に配置し、企業における導入、展開、運用の問題についてアドバイスしています。
これらの取り組みを通じて、トップマネジメントがYammerの利用にかかわり、社員のコラボレーションレベル、コミュニケーションレベルを上げていくという動きにつながっています。ここでは、日本の中古車販売大手のガリバーでの導入事例が特筆できます。ガリバーでは、経営トップがYammerの利用に深く関与しており、社員との意見交換や、アイデアの提案を受けたりといったことをYammerを通じて行っている。組織を超えて、アイデアの提案があり、それが組織の成長を支えています。
また、日本をはじめとして、全世界5カ所でイベント「Working Social Tour」を開催しましたが、ここでは、われわれの考え方やYammerの特徴を提案するとともに、顧客同士の情報交換の場としても活用してもらっています。顧客同士の情報交換は、Yammerの効果的な活用においては重要な意味を持つと考えています。
--エンタープライズソーシャルを導入する際に失敗しない方法とはなんでしょうか。
大企業は、新たな技術やサービス、製品の導入に対して慎重な傾向が強いのは確かです。権限を社員に与えることにも慎重です。エンタープライズソーシャルを通じて、会社に対する不平や不満を、社員が発信するのではないかという声もある。だが、そうした懸念は杞憂に終わることが多い。社員は、会社に対して尊敬の念を持って、これらのツールを利用しています。企業側が、さまざまなことを考えすぎると、導入は失敗することにつながります。
オーストラリアの金融機関であるNational Australia Bankは、Yammerの導入によって、カスタマーサービスにあがってきた声を、本社部門に反映できるようになりました。これを実現したのが、「Yammer Jam」というセッションをYammer上で展開するという例です。カスタマーサービス、金融製品を開発しているチームが、金曜日の午後3時から約2時間にわたって、情報交換を行い、議論を通じて新たな金融製品の開発につなげています。またまた、あらゆる部門がYammerを通じて、問題解決や改善について議論をしています。
Yammerを通じて経営陣に対する質問などを行い、階層をなくして、組織を超えた問題解決が図れるようになっています。Yammerを活用し、階層や組織の壁をなくすことで、より大きな成果を生むことができるわけです。
また、エンタープライズソーシャルというコミュニケーションツールは、相手を知らなくても、そこから情報を導き出して利用するというメリットもあります。こうした新たな仕事の仕方も可能となります。
日本の顧客は、以前から存在する文化的なバリアを超えなくてはならないと認識しており、コミュニケーションの強化やワークフォース同士を連携することの難しさも理解している。米国でも、6年前には、エンタープライズソーシャルはうまくいかないと言われていた。企業は、このようなコミュニケーション方法を社員に許すはずはないと言われていた。自分の携帯電話を会社に持ち込むことも許されていなかった。だが、それが違うことがようやく理解されてきた。こうした迅速な市場変化をとらえることも大切です。