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エンタープライズソーシャルネットワークとして急成長を遂げているのが米Yammerだ。現在、Fortune 500社のうち85%の企業が利用し、全世界で150カ国以上、23言語で利用されている。
フリーミアムモデルを採用することで導入のハードルを下げ、さらにMicrosoftによる買収で、Office 365との連携も強化。これもYammerの広がりを下支えしている。Yammerの共同設立者で、最高情報責任者(CTO)を務めるAdam Pisoni(アダム・ピソーニ)氏に、Yammerの取り組みについて聞いた。
--Yammerのこれまでのいきさつを教えてください。
米Yammer Inc.の共同設立者であり、CTOを務めるAdam Pisoni氏
Yammerは、今から6年前に、私を含めた5人でスタートした企業です。設立当初は、誰もエンタープライズソーシャルとは何かということを知りませんでした。また、Yammerという会社が何をする会社かもわからなかった。時間を経て、それが徐々に理解され、いまでは800万人以上のユーザーがおり、顧客数はさらに急速な勢いで増加しています。
「今までとは違う働き方をしたい」「コミュニケーションの障壁を解決したい」というニーズに対して、Yammerを導入する顧客が増加しています。
Yammerは、2011年7月にMicrosoftに買収されましたが、それによって、Office 365と統合できるようになり、何十億人というOfficeのユーザーにもリーチ可能になった。また、Microsoftが持つ世界規模の営業力、マーケティング力を活用することで、より大きなインパクトを市場に与えられるようになったともいえます。成長速度が一気に加速したというのがこの1年ほどの状況です。
--Yammerが主要ターゲットとしている顧客はどんな層ですか。
社員が5人だけで、全員が同じ部屋で働いているという環境では、Yammerは必要ないかもしれません。しかし、30人規模の会社になれば、Yammerを活用した成果がはっきり分かります。それぞれのプロジェクトごとにYammerを活用して、組織を超えてコミュニケーションすることも可能ですし、さらに大きな企業では、新しい社員が入ってきたときに全社で共有すべき情報をYammerを使ってすぐに共有できます。
しかも、コンシューマー向けに利用されているソーシャルメディア同様に直感的に操作ができますから、新しく入ってきた人たちにもトレーニングが不要です。現在、Yammerの顧客の半分が大手企業であり、残り半分が中堅、中小企業となっています。
特にどの業種に強いといったような傾向はありません。しかし、国ごとにみると、導入の進捗には差がありますね。例えば、オーストラリアは立ち上がりが早く、採用率が一気に上がっていった。日本の場合は、エグゼクティブの関与が重要であること、若い人の採用が活発であるという傾向がみられます。
--Yammerは導入すれば、自動的にコミュニケーションが活発化するものですか。
Yammerの導入例をみると、ほとんどの場合は、ボトムアップから始まっていますが、ある程度の規模にまで利用者数が増えてくると、経営層を含めた推進役の存在が必要となってきます。エンタープライズソーシャルは、技術が中心となるものではなく、社員の行動や仕事のやり方を変えるということが重要です。