あらゆる兆候が、今後数カ月の間に、スマートウォッチ、フィットネス用デバイス、医療機器などの形で、ウェアラブルデバイスが世の中を席巻するであろうことを示している。ハードウェアメーカーから開発会社まで、様々な企業が、この新たな新たな市場に参入し、運試しをしようという衝動を感じているだろう。
これらはすべて結構なことだ。しかし、世の中がこの流行をいかにもてはやそうと、これに社運を賭けるのは避けるべきだ。
筆者はウェアラブルデバイスについては警戒している(他の人たちにも、気をつけるように話している)。なぜなら、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、スマートフォンやタブレットから分かれた、まったく新しい市場のように見えるが、実際にはそうではないからだ。近年の消費者向け技術の歴史には、数多くのウェアラブルデバイスが登場し、泡と消えている。筆者はこれまで、眼鏡に搭載されたMP3プレイヤーから、移動した距離、歩数、経路などを記録するウェアラブルフィットネスデバイスまで、さまざまなものを目にしてきた。それらのデバイスの一部は優れたアイデアだったし、そうでないものもあった。
ウェアラブルに関して自制を勧めるもう1つの理由は、他のスマートデバイスも、成功ばかりではないということだ。これまでにも、市場が求めておらず、買おうともしないスマートデバイスが数多く世に出ている。
1つ例を挙げてみた方がいいだろう。スマートフォンとタブレットを考えてみよう。これらのデバイスはずっと以前から出回っていたが、これを本当に主流に据えたのはAppleだった。それ以降、あらゆる企業がこの流れに乗って一儲けしようと、「Android」陣営に便乗した。まだ争っている企業は数多くあるが、そのほとんどはサムスンに大きく水をあけられている。
もう1つの例は、アプリ市場だ。アプリは「iPhone」よりもずっと前から存在したが、Appleがこれを主流にした。まもなく、誰もが自分のアプリとアプリストアを作ろうとしたが、いくつかの企業は足がかりを作ったものの(例えば、AndroidやAmazonのアプリエコシステム)、悪戦苦闘している企業もあり(例:「Windows」や「Windows Phone」のエコシステム)、完全に死に絶えてしまったものもある(「BlackBerry PlayBook」やHPの「TouchPad」を考えてみて欲しい)。
今後ウェアラブル市場が活発になることは確実だが、焦って間違った製品やサービス、アプリなど投入すれば、あっという間に大金を失うだろう。