本記事では、記憶の糸をたぐり寄せ、懐かしい過去のテクノロジの数々を紹介する。
筆者は最近、1980年代のコンピューティング事情を懐古するRob O'Hara氏執筆の素晴らしい書籍「Commodork: Sordid Tales from a BBS Junkie」を読んだ。Robは筆者と同じ1970年代の初めに生まれた人間であるため、2人とも同じコンピュータシステムで同じゲームを楽しんでいたようだ。同書は家族へのプレゼント(つまり子どもへのプレゼントである「iPad mini」)を購入するついでに入手したものであるが、読み進めていくうちに筆者が子どもだった頃(ここでは1980〜1990年代を指す)の、過去のテクノロジを懐かしむ気持ちでいっぱいになった。そこで本記事では、筆者のお気に入りだった10のものごとを紹介することにした。
#1:新たな興奮を呼び起こしたテクノロジ
筆者が初めて目にしたコンピュータは、友人のPatrickが持っていた「Apple II」だった。それはおそらく1978年のことで、筆者は7歳だった。それまでに聞いたことのあるコンピュータと言えばENIACだけであり、それは筆者の頭の中では科学とエンジニアリングという世界にしか存在していないものであった。
そんななか友人の家に突如として、生きているような(実際そう感じた)本物のコンピュータが出現した。Patrickは数千ドルもの大金を父親がAppleに支払ったと言っていたが、実際に動作しているコンピュータを目にした筆者の心はこのテクノロジのことでいっぱいになった--一般人でも本物のコンピュータを入手できるのだ!自動車と同じくらい高価ではあるものの、実際に入手できる。さまざまな可能性が頭をよぎった。どんな可能性があるのか、まだ誰も分かっていないんじゃないだろうか?この考えが筆者をIT分野に向かわせた理由の1つとなっている。
#2:自宅に来た初めてのテクノロジ
その後ほどなくして筆者は、コンピュータを買ってくれるよう、困惑する両親にしつこくせがむようになった。そして翌年、両親が買ってくれたのは高価なApple IIではなく、その半分くらいの値段の「Atari 400」だった。この製品にはキーボードと、コンピュータカートリッジを挿入するスロットが装備されており、付属のコントローラ(ジョイスティック)でゲームをプレイできるようになっていた。また、信じられないかもしれないが、カセットテープレコーダーを使ってゲームのロードやセーブができるようになっていた。さらに、両親に先見の明があったせいか(いくつかのゲームとともに)BASICカートリッジも買い与えてくれたため、筆者は初歩的なプログラムを作成し始め、テープに保存するようになった(これについては後述)。
実際のところ、Atari 400はまだeBayで入手できるようだ。価格は当時の10分の1ほどになっているため(1979年と2013年の物価の違いは考慮していない)、54.99ドルくらいあればこのマシンがあなたのものとなるのである!
このマシンが筆者の心に残っているのは、ホームコンピュータを手に入れるということが何か特別で予想もしていなかった出来事であったためだ。最近の子どもたちは自宅にコンピュータがあって当たり前だろう。テレビや冷蔵庫、ダイニングテーブルに対する感覚とまったく同じなのだ。しかし、Atari 400は筆者にとって、テレビのようにただ座って受動的に視聴するという製品ではなく、実際にそれを使って何かを作れるという能動的な製品だったのだ。