IBM Global CxO Studyを読む

世界の経営トップがいま考えていること--オムニチャネルとプラットフォーム戦略 - (page 2)

大西高弘 (NO BUDGET) 怒賀新也 (編集部)

2014-05-15 07:30

 その理由を斉藤氏はこう語る。

 「意思決定者であるエグゼクティブが傍観者となってしまうことが大きな理由です。経営者はソーシャルメディアの重要性はきちんと認識していますが、ユーザーとして経験していないためにその本質を理解できないのです。この結果は2012年の調査でも大切なテーマとなっていました。今や、テクノロジと経営は切り離せません。テクノロジの変化に敏感なことは、高業績企業のひとつの特徴といえるでしょう」

図13 「リアルとデジタルの戦略を統合した企業」
図13 「リアルとデジタルの戦略を統合した企業」

 池田氏も斎藤氏の意見に同意する。今回の調査によれば、高業績企業(注) の方になるほどリアルとデジタルの統合戦略を策定しており、ソーシャルを企業戦略とブランディングの中核に置こうとしているという。高業績企業のCxOは、テクノロジ進化の傍観者になるのではなく、自らが業界におけるイノベーションの先駆者になろうとしているのだ。

 (注 当調査において、高業績企業とは『経営層自らが売上成長率と収益性の両面で同業他社よりも優れている』と自己評価している企業をさし、全体の8%存在している。低業績企業は、逆の自己評価をしている企業であり、全体の25%存在する。)

「リアルとデジタルの統合」に出遅れる日本のCxO

 世界企業のリアルとデジタルの統合指向を見てきたが、日本のCxOはどうなのだろう。実は、今回の調査で日本企業のCxOは631名、全体の約15%と重要なポジションを占めている。

 斉藤氏は日本と世界の各CxOの違いが出ている部分を指摘する。

 「日本企業は伝統的に顧客を大切する傾向にありますが、それがこの調査にも表れています。例えば「企業に対する顧客の影響力は大きい」と考えている日本企業は76%と世界平均の54%を大きく上回り、優先度を高めていきたい領域でも『顧客体験の変革』を挙げているCxOが平均よりも高いですね。一方で、事業戦略とデジタル戦略が統合されている企業の比率は、世界平均の36%に対して、日本企業は24%にとどまっています。僕たちが意識すべき課題点ですね」

「CxO デジタル戦略の成熟度」
「CxO デジタル戦略の成熟度」

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]