Service Resource PlanningをクラウドERPに統合
今回のキーノートのもう1つのメッセージがService Resource Planning(SRP)だった。「NetSuite SRP」は、サービス事業者、例えば士業やコンサルタント、広告などのエージェンシーサービス、エンジニアサービスなど時間単価でサービスを行うビジネスをサポートするシステムを1つにパッケージ化したものだ。他社のERPなどでは業種向けソリューションの中に、時間やメンバー単位でプロジェクト管理やコスト計算を行う仕組みが組み込まれている例は多い。それをNetSuiteでは、より汎用的な1つのパッケージとしたのだ。
もともとNetSuiteには、買収したものの日本では本格展開していない「OpenAir」というSRPがある。これはSaaS型ERPの「NetSuite OneWorld」とは別のサービスとして展開されている。今回はこのOpenAirの仕組みと同様なものを、ERPのパッケージに統合化し1つの一貫したサービスとしてクラウドで提供できるようにしたのだ。

SRPのプロジェクトダッシュボード画面
プロジェクト管理のアプリケーションは各種あるが、ERPと連携していないものも多い。ERPと連携することで、サービスビジネスを行う企業のコスト管理やリソースの最適配置などがタイムリーに実施できるようになる。これもオムニチャネルの場合と同様、バックエンドにERPの財務会計の仕組みなりがきっちりとあるからこそ実現できるものだ。
日本の保守的な企業では、ERPをクラウドに載せることはまだまだ現実的に検討していないかもしれない。しかしながらオムニチャネルを実現したい、プロジェクトのコスト管理を詳細かつタイムリーに実施したいなどと考えるならば、そのバックエンドとして必須となるERPの仕組みをまずはクラウドに載せ、ビジネスにアジリティを獲得するところから検討すべきかもしれない。