今週の明言

日本に本格進出した新進気鋭の米ITベンチャーCEOの横顔 - (page 2)

松岡功

2014-05-30 13:55

 それでも同氏は自らの挑戦について、「まだ始まったばかり。まずはAppDynamicsを早く10億ドル企業にしたい。今後はAPMを皮切りに、アプリケーションがビジネスに効果をもたらすさまざまな分野に進出していきたい」と語り、改めて冒頭の言葉を繰り返しながら市場のポテンシャルに大きな期待を膨らませている様子だ。

 ちなみに、分散アプリケーション管理の分野で14の米国特許出願において筆頭発明者に名を連ねているというBansai氏。米ITベンチャー創業者兼CEOの中でもとりわけ注目の人物といえそうだ。

「SDN化は既存ネットワークからのマイグレーションに注力していきたい」
(富士通 浦田悟 ネットワークビジネス戦略室SDN推進室長代理)

 富士通が先ごろ、広域ネットワーク(WAN)向けのSDN(Software Defined Networking)製品群を新たに発表した。2013年5月に発売したデータセンター向けSDN製品群に続くもので、通信キャリアなどネットワーク事業者向けに展開する。浦田氏の冒頭の発言は、同社のSDN関連事業における競合他社との差別化ポイントを語ったものである。


富士通 ネットワークビジネス戦略室SDN推進室長代理 浦田悟氏

 同社は2013年5月、SDNの考え方に基づいた新たなアーキテクチャ「FUJITSU Intelligent Networking and Computing Architecture」を確立。データセンター、広域ネットワーク、スマートデバイスといった特性の異なる3つのICT領域を、ソフトウェアによってインテリジェントで柔軟な最適制御を実現するもので、SDNの考え方をネットワークだけでなくICT領域全体に拡張していこうと考えている。

 特性の異なる3つのICT領域でリソースを仮想化し、その仮想化したリソースを「仮想インフラ層」と「分散サービス基盤層」の2つの階層で管理・制御することで、最適なサービスレベルを実現。これによって、エンドユーザーの体感品質(Quality of Experience)を向上することが最大の目的だという。

 今回発表した製品群の詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここではSDN分野における富士通のポジショニングに注目しておきたい。

 SDN分野では、サービス事業者などのユーザー企業が中心となってSDNの代表的な要素技術であるOpenFlowの標準化などを進める団体「オープンネットワーキングファウンデーション(ONF)」がある。さらに、オープンソースをベースにしてSDN関連製品の開発を進めるネットワーク機器やソフトウェアのベンダーを中心とした「OpenDaylightプロジェクト」、SDNの考え方に基づくオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアであるOpenStackを開発、管理する。「OpenStackファウンデーション」など、複数の推進団体が活動を活発化させている。

 こうしたSDN関連プロジェクトへの関わりがまず気になるところだが、富士通はこれらにいずれも積極的に参加しているという。

 そしてもう1つ気になるのが、競合他社との差別化ポイントだ。この点について浦田氏は、「競合他社はSDNによってネットワークを一気に刷新しようという取り組みが目立つが」と前置きした上で、冒頭の発言にあるように「富士通は既存ネットワークからのマイグレーションに注力していく」ことを強調した。こうした競合他社との違いが果たして奏効するかどうか、注目しておきたい。

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